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2004年1月 1日

申年の年明けに

謹賀新年。申年である。「猿」 をどうして 「申」 と書くのか、詳しい故事来歴はどこかで聞いたことがあるが、忘れた。

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なんでも、「申」 は 「伸」 の元の字で、猿の伸び伸びとした動きから、この字を当てたという説もあるが、日本猿は 「伸び伸び」 というより 「チャカチャカ」 に見えるがなぁ。

上野動物園の猿山なんか見ていると、つい口をぽかんと開いて見とれたりしてしまうから、猿というのは、伸び伸びだろうが、チャカチャカだろうが、やはり何か訴えてくるモノがある。そして、もしかしたら、大陸には本当に伸び伸びと動く猿がいるのかもしれない。

猿というと、大学で古典芸能なんてものを専攻した私としては、「猿楽」 というものを思い出す。現代の能楽のもとになった芸能だ。田楽がやや曲芸めいたことを主としたのに対し、猿楽は 「写実」 の芸を旨とした。実際の人間の動きをまねて表現するから、猿まねにちなみ、「猿楽」 と称したという説もある。

だから、「猿まね」 だって馬鹿にしたものではないのだ。何べんもまねているうちに、だんだんとオリジナルになっていく。いつの間にか、あんなに幽玄な芸に昇華してしまった。

「学ぶ」 というのは、「真似ぶ」 からきているという人もある。まぁ、今年もさんざん真似し、学び、修行し、いろいろなことを 「申し」 上げ続けていこうと思うのである。それで、「伸び伸び」 できたら最高だ。

年が改まれば、人の心にも新たなものが生まれる。その新たなものは、きっと、これまでずっと土の中で眠っていた種が芽を出すようなものだ。新たなものというのは、だから、ずっと古くからのものなのだ。古くから真似し続けてきたものが、ある日突然、新しいオリジナルなものとして芽を吹く。

自分の心の中に、きっとそうしたものがある。宇宙の歴史に匹敵するほどの種が眠っている。それを信じて、今年も生きていこう。

 

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