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2004年2月14日

「めんだりあれ」という言葉

33年前に故郷を離れて以来、片時も庄内弁を忘れずにいたおかげで、今では田舎に帰ると、「今時、あんたのような昔の方言を使う人はいない」と言われることがある。

しかし、その私も知らなかった「めんだりあれ」という方言がある。鳥海山の麓の村に嫁いだ従姉妹から聞いた言葉である。

そもそも「めんだり」というのは、エプロンのことである。「前垂れ」の訛りで「めんだり」という。これは当然にも元々知っていた。しかし「めんだりあれ」という熟語は、さすがに知らなかった。これは「エプロン洗い」ということになる。しかし、その意味は洗濯のことではない。

これは、婦人会などの女同士の集まりの「なおらい」のことを言うらしいのである。女同士で集まった時にも、一応はエプロンを付けてかいがいしく茶菓子の世話などで働くのだが、それが一段落して「さあ、それではゆっくりとお茶でも飲みながら、世間話でもしましょうか」という段になると、エプロンを外してしまうわけだ。

しかし、女がエプロンを外すのは、それを「洗う」という名目がなければならない。そうでもなければ、堂々と外すわけにいかない。今とは違って、昔はそんなことがあったのだろう。そこで、「なおらい」のことを「めんだりあれ」-「エプロン洗い」と称したものと思われる。

延々とエプロンを洗って、そして家に帰るのである。なかなかオツな表現である。

旦那に「ずいぶん長い『めんだりあれ』だったな」と文句を言われても、「乾くのに手間がかかった」ぐらいの洒落で返せばいいわけだ。

 

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