カタカナのコンピュータ用語
とことん自国語で高等教育を受けることのできる国というのは、そんなには多くないらしい。アジアの多くの国は、高等教育を受けるためには欧米に留学するしかない。
その点、日本は便利である。日本語のマーケットはかなりの規模に達しているから、大抵の学術書も日本語に翻訳されている。
便利なようだが、不便さもある。何でも日本語で済んでいるので、英語感覚がなかなかつかない。とくにコンピュータの世界では英語が共通語なので、なかなか大変だ。
カタカナ言葉がわからないので、コンピュータになじめないという声を聞く。なるほど、そうかも知れない。例えば、「インストール」 という言葉がある。英語感覚がないと、「インストール」 というのは、コンピュータにプログラムをセットアップすることだと思ってしまう。
しかし、「インストール」 を 「インスタレーション」 と関連した言葉であると知っていると、膨らみをもった言葉として認識することができる。芸術用語としての 「インスタレーション」 というのは、絵画とか彫刻とかでは言い切れない芸術様式で、要するに、何かをどこかに置いてしまうことである。 それを知らないと、「インストロール」 などと間違って覚えてしまうことになる。
「マウス」 という言葉を使うときに、「ネズミ」 だという意識が少しでもあるとないとでは、コンピュータを扱う世界観が違ってしまう。ダブルクリックが苦手だとういう人がいる。しかし、「クリック」 という動詞が、鋏をチョキチョキするのと同じ言葉であるとわかると、一瞬にして 「ダブルクリック」 がとても簡単な動作になる。特別なことでもなんでもなくなるからだ。
カタカナのコンピュータ用語が、魔法の呪文なのか、日常の言葉と知っているかで、操作する身体感覚まで変わってしまうのである。
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