海老と蝦
28日、新之助の11代目市川海老蔵襲名記念パーティが開催され、小泉首相も参加したそうだ。さすが、歌舞伎ファンの首相だけあって、新之助の芸には早くから注目していたと発言している。
新海老蔵に期待する声は大きい。次の団十郎になる人だから、当然だ。
実は、私は九代目団十郎で卒論を、七代目団十郎で修士論文を書いた。だから、成田屋の今後には少々思い入れがある。
ちなみに、「海老蔵」 は初代団十郎の幼名とされており、今は団十郎になる前の役者が 「海老蔵」 を名乗るのが通例になっているが、江戸時代においては、既に団十郎を名乗り、その名前を次代に譲った役者が名乗っていた。
つまり、今の海老蔵が次期社長を約束された 「専務取締役」 とするならば、以前の海老蔵は、社長を退陣した 「取締役会長」 みたいなものだったようだ。
ところで、「エビ」 を英語で言う場合に、"lobster" "prawn" "shrimp" と、3種類ある。日本語でも、「海老」 と 「蝦」 の表記があり、それぞれ "lobster" と "shrimp" に相当する。"Prawn" は車海老だそうだ。「蝦」 は、同じエビでも、小エビなのである。
寛政期の名優、五代目團十郎は、息子に六代目を譲って改名する際に、「親達は名人上手で江戸の飾り海老ですが、自分はザコで …… 」 と謙遜し、「海老蔵」 ではなく 「蝦蔵」 を名乗ったそうだ。謙遜だが、うまい洒落である。
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