絶対に正しい選択はない
今日はテレビもラジオも、イラク邦人人質問題でもちきりで、これをきっかけに、自衛隊の撤退を求める声が強まりそうだ。
私は今回の自衛隊派兵に積極的に賛成しているわけではないが、だからといって、すぐに撤退すべきという論調には疑問を感じるのである
「そら見たことか、だから派兵なんかしなきゃよかったのだ」と、今さら言ってみたところで仕方がない。派兵してしまった以上、テロに屈して言いなりになったという既成事実を作るわけにはいかないではないか。世界中に悪影響を及ぼしてしまう。
こうしたテロに屈して、一度決めたことを覆していては、キリがないのである。ハイジャック対策と同じようなことで、「人命尊重」の原則に縛られすぎて、犯人側の言いなりになる前例を作ってしまうと、似たような事件を次々に誘発することになる。だから、毅然とした態度で臨むべきなのだ。
ラジオの解説を聞いていると、「自衛隊は自分たちの安全な宿営施設造りを優先しているので、イラクの人道復興支援という目的を果たしておらず、いてもいなくてもいい存在である。ならば撤退すべきだ」という言い方をする人もいた。
「よく言うよ」と思った。派遣された自衛隊員の身になって考えてみるがいい。まず安全な宿営地を確保しないことには、安心して活動できないではないか。彼らは死なずに日本に帰るという義務があるのだ。死んでしまったら、何を言われるかわからないのだから。
宿営地造りに手間がかかりすぎという人もある。しかし仕方がないではないか。幸か不幸か、戦後何十年も海外派兵なんかしてこなかったのである。何をするにも手探り状態だ。これがさっさと進むようなら、よほど海外派兵慣れしてしまっているということだ。
もし自衛隊が安全な宿営地造りをおざなりにして、復興支援作業にどんどん乗り出し、そのために何らかの人的被害が出たりしたら、その同じニュース解説者は何とコメントするだろう。安全を確保しないうちに、無謀な活動を行ったとして口を極めて非難するに違いない。
どんな場合でも絶対的に正しい選択などはあり得ない。こうなってしまった以上、常に与えられた条件の中でベターなものを模索していくしかない。
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