英語、米語、怪しい日本語
先日、ニューヨークとロンドンでの勤務経験がある商社マンの U 氏と話していて、英語と米語の違いの話題になった。
私もロンドンに本部を置く団体の職員だったことがあり、それにはずいぶん戸惑った経験がある。何しろ英国では、エレベーターを「リフト」と言うのだから。
私の最初の英語の教科書は、「~を持たない」というのを "have not" と表記していた。これはイギリス英語であるという。ところが、中学 2年の教科書では、何の断りもなく "don't have" に変わっていた。米国式であるらしい。
ところが、私は英国人と話していても、「持たない」という意味で "have not" を使ったことが一度もなく、常に "don't have" で済ませているように思うのだが、それでどうのこうの言われたことはない。これに関しては、かなりグローバルになっているようだ。
しかし、同じものを英米で別の単語で言うのは、かなりある。自動車に関する用語などは、とくに要注意だ。日本語で言うところの「フロントガラス」は、"front glass" ではなく、 "windshield" でいいのだと思っていたが、それは米語で、英語では "windscreen" というらしい。(意味としては、どちらも「風よけ」 だが)
それから、「ボンネット」のことを 「フード」などと言うと、いかにも通ぶって聞こえるが、何のことはない、同じことを、英語で "bonnet"、米語で "hood" というだけのことだ。どちらも、もともとの意味は「帽子」である。
ところが、日本語になるともっとややこしい。「ボンネットフード」という言葉があるのだ。「ボンネットのフード」(ボンネットの覆い)ということか。
しかし、"bonnet" も "hood" も、本来は、その「ボンネットフード」と称する「覆い」の部分を指す言葉であり、その部分を外れたら、「フェンダー」という立派な名称がある。わざわざ、「帽子の帽子」と重ねて言う必要はないと思うのだが、この辺りは、どうもいい加減のようなのである。
この関連で最も傑作なのは、「ボンネットブラジャー」 というものである。ボンネットの傷を防ぐための覆いのようなもので、米国では "hood deflector", "hood mask", "nose bra" とか言われているようだ。「ボンネットブラジャー」とは、「ノーズブラ」(鼻のブラジャー)からの転化なのだろうが、よくぞ名付けたものである。
こうして考えてみると、自動車用語のローカル・ルールが激しいのは、野球といい勝負のようだ。何でも身近になり過ぎると、その用語は換骨奪胎されてしまって、英語だか何だか、わけがわからなくなるようなのだ。
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