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2004年6月17日

奪ったら奪われる

私はあちこちで「一人勝ちの論理」はおかしいと力説している。

とくに、「市場のパイは決まってるから、生き残りのためには、他社のシェアを奪うしかない」という論理は、経験的に間違いであると指摘できる。この論理で突き進んで成功するのを見たことがない。

昨今の日本プロ野球の現状を見ると、ますますその感を強くする。

巨人の戦略は基本的に、有力なアマチュアを金の力で自チームに入団させ、取り逃がして、他チームの主力選手になってしまったのを、今度は FA で横取りするというものである。これでは、自分が相対的に強くはなるだろうが、野球界全体はつまらなくなって、地盤沈下する。

他球団を弱体化させることで、自チームの優勝回数は増えても、それは健全なマーケティングとは言えない。貧乏人だらけの中でお山の大将になるよりも、豊かなもの同士で健全な競合をする方が、ずっと豊かなのである。

本当に健全な市場というのは、よきライバル同士がつばぜり合いをすることで、市場全体が拡大するものである。ファッション業界でも、自分のブランドが特殊すぎては、強力な市場を形成できない。「お友達ブランド」があってこそ、お互いに伸びる。

他社から奪うと、他業界から奪われるのである。

 

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