人名漢字拡大の怪 その3
先月の 18日付の当コラムでさんざん批判した人名用漢字追加案でパブリック・コメントがまとまり、さすがに「糞」だの「屍」などは削除される方向のようだ。
1000通以上の意見のうち、「糞」「屍」などの文字について「不適切」との意見が半数を超えたためという。
これを受けて、追加案は正式決定し、今秋にも人名に使える漢字が増えることになるという。
おもしろいのは、追加案にへんてこな漢字がいくつか混じっていたことについての、検討部会関係者のコメントである。(以下引用)
「常用性があり、平易であること」を原則にJIS漢字表から選定。漢字自体が持つ意味が人名にふさわしいかどうかについては「意味を検討し始めると各委員の意見が異なり、収拾がつかなくなる」(関係者)として検討しなかった結果、「糞」などの漢字が含まれることになった。
「糞」だの「淫」だの「屍」だの「癌」だのの意味について、そんなに収拾がつかなくなるほどの、百家争鳴的意見が出るのだろうか。素晴らしく多様な価値観で、しかも互いに譲らぬほど我の強い委員がお揃いのようだが、実際のところ、にわかには信じがたい。
それに、専門家の間でさえ「収拾がつかない」ようなむずかしい問題を、わずか 1000名程度の素人の意見で、しかも、たかだか「半数を超えた」程度のことで、あっさりと引っ込めてしまうというのも、普通に考えればちょっとすごい話である。
こういうのを、ちょっと気取った日本語では「予定調和」と言い、率直な日本語では「出来レース」と言うのである。日本の法務省というのは、なかなか食えないところであるようだ。
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