日中韓で ICタグの規格統一
日中韓の 3国で、2006年度までに ICタグ規格の統一を行うプロジェクトが動き始めているらしい。(こちら)
ところが、ICタグの規格に関しては、欧米も既に動きを開始していて、世界最大の流通業、ウォルマートでは、既に実用化といえるところまでこぎ着けている。
話はちょっとややこしいのだが、ICタグに関しては、欧米、とくに米国の考え方と日本の考え方では、ずいぶん違うのである。
米国では、主に物流管理の目的で ICタグを利用した RFID 技術が研究開発された。ウォルマートでは現在、上位 100社の納入業者に、カートン、パレット単位での RFID 装着を義務づけている。これで、メーカーの配送センターから店舗の納入窓口までの管理はばっちりだ。
とくに 「シュリンケージ」(配送途中で商品が消えてしまうこと) は、かなりの確率で防止できる。米国は、このシュリンケージが大きな問題だったのだ。日本ではほとんど問題になっていないというところが、かなりありがたいところである。
日本の考え方は、トロンで有名な坂村健氏の提唱による「ユビキタス ID センター」の推進するモデルなのだが、物流管理というよりは、素材や生産者、生産方法など、商品の氏素性を明確に表示できるようにして、消費者に信頼と安心感を与えるという、「トレーサビリティ」を重視している。
米国流は、話が単純なので、既に実用化といえるところまで来ているが、発展性は小さい。日本流はかなり理想的なモデルだが、話がややこしい。実際問題として、野菜につける ICタグに、使用した農薬の種類や量など、いちいちかなりな量のデータを入力するというのも骨が折れるだろう。
ある意味、昔の VHS とベータのように、まったく同じモノの規格争いではないから、棲み分けもきくのだろうが、どうなるものやら興味深い。
ただ、坂上氏の 「最新技術はすべて米国からやってくるという考えは間違っている」 という指摘には、大きな共感を持って 「そうだ、そうだ」と言いたくなってしまう。
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