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2004年7月30日

文化庁こそ言葉の意味を取り違えてるぞ!

文化庁の「国語に関する世論調査」によると、「檄(げき)を飛ばす」や「姑息(こそく)」などの言葉の意味を、7割前後の人が取り違えているという。

「姑息」の意味を「卑怯」と間違えている人が圧倒的に多かったのは、世の中のお姑さんたちに気の毒かもしれない。

<国語世論調査>「姑息」7割が違う意味で理解

それにしても、この調査、なんだかちょっと誘導尋問ぽい気がするし、結論の出し方に違和感を覚えるところもある。

例えば、「檄を飛ばす」の意味は、確かに「自分の主張や考えを広く人々に知らせて、同意を求めること」というのが正解だが、岩波書店の「広辞苑」では、1991年発行の 4版から「刺激して活気づける」の意味も加えられている(参照)というではないか。10年以上も前から広辞苑に載っている「定着した解釈」を「誤用」と決めつけるのは、なんだか「エラそう」である。

「姑息」というのも、正解は確かに「一時しのぎ」である。しかし、「姑息な手段を弄する」なんて使い方をすると、「ちまちました手段でこっそり場を取り繕う」というやり口の連想から、「卑怯」というイメージが喚起されるのも、不自然なことではない。

この二つの「誤用」は、実際の言葉の使用ケースを想定してみても、あまり不都合なことは起こらないだろう。それほど声高に言うほどのことかなぁと思うのだ。

しかし、まぁ、ここは 「言葉の『本来の』意味」 にこだわっているのだろうと、取り敢えず、矛を収めよう。しかし、「さわり」という言葉に関しては、ちょっと見過ごせないのだ。

「さわり」に関しては、「話などの要点」という「正解」よりも、「話などの最初の部分」という誤答が多かったと報告されている。

しかし、これは文化庁のチョンボだ。「さわり」という言葉の意味の「本当の正解」は、 「話の要点」ではなく、「話のクライマックス」である。

元々は「さわり」というのは、義太夫(人形浄瑠璃の語り物)の一番の「聞かせどころ」のことを言うのであって、決して「要点」という意味ではない。「さわりだけ聞かせてよ」と言ったら、本来は「時間がないから、前の方は端折って、一番グッとくる最高潮のところを演ってよ」という意味合いである。

それを 「話の要点」 と言ってしまうと、「かいつまんだ要約ポイント」というニュアンスが強い。「一番いいところ」を演じてもらいたくて「さわりだけ、お願い」と言っているのに、「話の要点」を淡々と聞かされたら、しらけ果ててしまう。

少なくとも、文化庁の姿勢には一貫性がない。一方では広辞苑に載ったほどの定着した意味合いを「誤用」としながら、他方では「さわり」の「本来の意味」を無視して「話の要点」などと言っている。これでは、調査のあり方のコンセプトからして、 「ブー」 である。

人間国宝まで輩出している文楽・義太夫の世界に申し訳がない。そういえば、人間国宝は当の文化庁の管轄だろうに。

「文化庁、お前こそ、言葉の意味を取り違えてるぞ !」と、私は言いたいのである。それから、「マスコミも、このくらい気付けよ」とも言いたい。

実は、文化庁はこの調査報告を毎年出しているのだが、そのたびにツッコミどころ満載である。(例:「確信犯」について

 

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コメント

自分でコメント付けちゃいますが、
「さわり」を「話の要点」といって違和感があるのは、
「さわり」というのは、要するに
「クローズアップ」であって、
「サマリー」じゃないからなんです。

投稿: tak | 2004年7月31日 08:35

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