「栄養費」の考察
大学野球の選手に裏金を渡していたことの責任をとって、かのナベツネ氏が巨人軍オーナーを辞任したという。
こんなことでいちいち辞任していたら、今まで何度辞めなければならなかったかわからない。ということは、この表向きの理由は、本当の理由ではないということだ。
そもそも、今回の裏金問題が明るみに出たのは、他から指摘されたわけではなく、巨人が自ら白状したのである。黙っていれば、これまで通り、暗黙の了解みたいなことで済んでいたのに、わざわざ自分からゲロったというのは、その方が得策だと判断したからだろう。少なくとも、従来路線を見限ったということだ。
黙ってトボケていたら、どんな不都合があったのか?
まず最初に思い浮かぶのは、読売新聞の販売部数に悪影響が出るということだ。今回の騒動に限らず、ナベツネ氏のイメージは落ちるところまで落ちていたから、これ以上のダーティ・イメージで動き回られたら、本業に差し障りが出る。
ここは速やかにお引き取り願うために、とってつけたような裏金騒動をゲロしてみせた。最後ぐらいは正義ぶって辞めていただこうということか。
それにしても、大学野球界のエースまで巻き添えにしてしまうというのだから、このあたりの思い切りも凄いものである。自分で金を押しつけておいて、妙なタイミングで白状して、将来ある若者にダーティ・イメージを着せてしまう。裏金を受け取っていたのは、一場だけではなかろうに、気の毒と言えば気の毒である。
ここまで思い切ったというのは、読売としても、野球に金ばかりかけても、決してダントツで優勝できるわけでも、人気がさらに上がるわけでも何でもないという事実に、ようやく気付いたのかも知れない。今シーズンの様相をみても、対費用効果が悪すぎる。一般のビジネス社会では通らないコスト効率の悪さだ。
以前にも指摘したが、自分の相対的優位性を保つために、大金を使って自チームに有力選手を集中させるという戦略は、野球という業界全体をつまらなくしている。他チームにいれば4番打者でいられる存在を、ベンチの奥にしまっておくというのは、業界全体における人的資源の活用という視点から見ても、愚策中の愚策である。
お山の大将の地位にしがみついて業界全体をつまらなくするより、デッドヒートを演じて全体を活性化させる方が、得策なのである。コスト効率だって、その方がずっといい。
そんなこんなで、いくら何でも、これまでは馬鹿なことをし過ぎてきたという反省機運が生じても不思議ではない。体質を多少は改めるために、トップ人事のガラガラポンをする必要があったのだろう。
まったく、この世は「瓢箪から駒」的な要素が絡まり合って、こけつまろびつ展開していくものである。
それにしても、読売巨人軍の出金伝票には「栄養費」なんて項目が本当にあるのだろうか? お役所などでは「食糧費」というのがあるが、「栄養費」なんてものがあるとしたら、他にはどんな用途で使われてるんだろう? オロナミンC を大量に買い付けて、ベンチ裏に置いたりしてるのだろうか?
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コメント
ライオンズの栄養費問題が取り上げられてるっすけど談合やってる建築士に負けないくらいunfairな野球選手って少なからずいるそうっすから其れ程驚くべきことじゃなさそうっすね。
それとプロ野球のスカウトってライオンズ含め相当頭がおかしい人が多いらしいっすね。
投稿: デジ1工担者 | 2007年3月11日 00:53
デジ1工担者 さん:
かなり以前のエントリーですが、コメントありがとうございます。
私も、「なんだか書いた覚えがあるなあ」 と思ってましたが、これで思い出しました ^^;)
投稿: tak | 2007年3月11日 21:17