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2004年9月16日

環境保護と動物保護

絶滅に瀕している動物があるかと思えば、増えすぎて困っている動物もある。
6月 30日の当欄に、常磐線取手駅周辺でムクドリが大量発生していると書いたが、最近は少し減ってきている。しかし、今度は奥多摩でシカが大増殖して、先日の台風被害を拡大したと聞いた。

なんでも、以前は奥多摩のシカは 500頭前後しかいなかったのだが、西暦 2000年頃を境に急増し始め、昨年は 2500頭が確認されたという。今年はさらに増えて、多分 3000頭前後に達しているとみられる。

このため、都民の水源地域となっている奥多摩町の森林が、シカの食害で「砂漠化」の危機に陥っている。増えすぎたシカが、植林した幼木の新芽や皮を食い荒らしているのが原因という。森林を食い荒らされた山肌はむき出しになり、水分を失ってカラカラに乾ききったところもあるらしい。

先日の台風では土砂崩れで奥多摩町の水道取水口がふさがり、断水の被害が出た。これは見過ごせない。

シカの増殖は、奥多摩町ばかりでなく、全国的に報告されている。九州霧島山に近いえびの高原におけるシカの食害の写真をみると、かなり深刻だ。

ここまでシカが増殖した最も大きな原因は、このところの暖冬傾向にあるらしい。シカは雪に弱く、積雪が 50~60センチになると、雪に埋まった脚を動かせなくなり、自然に淘汰される。しかし、最近の奥多摩は降ってもせいぜい 20~30センチ程度のため、シカの自然淘汰がなくなってしまったようだ。

偉大なる自然も、一度バランスを崩すと、次々と連鎖的に異常な現象を引き起こす。

「特定鳥獣保護管理計画」により、狩猟捕獲による頭数調整が検討されているが、一部の動物保護団体からの反発が予想されるという。どうも、「動物保護」の思想と「環境保護」の思想は、時々相容れないようなのだ。

ちなみに「環境保護」を標榜するグリーンピースなどの活動も、クジラなどに関しては、実は「偏狭な動物保護」だったりすることがあるのではなかろうか。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

鹿対策に狼の導入 参照 http://japan-wolf.org/content/faq/

投稿: 名無し | 2013年1月29日 09:57

名無し さん:

書込みありがとうございます。
勉強になりました。

投稿: tak | 2013年1月29日 14:34

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