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2004年9月27日

軽薄な色

田山淳朗というファッション・デザイナーを私はかなり評価しているのだが、彼がまだ A.T のデザイナーをしていた頃にインタビューをして、心に残ったことがあった。

彼は明確なデザインの方向性を持たないのだそうだ。自分のコンセプトを決めつけないが、色にだけはこだわるという。

どんな風にこだわるのかというと、ただ一言、「軽薄な色だけは使いたくない」と言った。「軽薄な色」というのは具体的にどんな色を想定しているのかは聞きそびれたが、インタビューをしていて、彼の言いたいことはよくわかった。

要するに、安っぽい花柄なんかに使われそうな色は、生理的に避けてしまうというようなことなのだろうと理解した。その感性はとてもよく理解できる。

ところで、当サイトも多少は色に凝っている。本宅の「知の海」でもそうだが、Cocolog の "Today's Crack" の方も、いかにもという原色は避けている。それから、成人式の振り袖に使われそうな色も敬遠している。

かといって、よく見られるような白・黒・グレーのみのモノトーンにするのも趣味ではない。私は昔の DC ブームのころだって、黒ずくめの服は絶対に着なかったし。

oldtp.jpg自分で作った昔のサイトのアーカイブを改めて開いてみると、随分派手な色を使っていたことに驚く。それは色の選択をしている時間を惜しんで、コンテンツの充実のみを急いでいたからだろうと思う。

「知の海」だってそうだ。つい去年のクリスマス頃のトップページ(右)が残っていたので開いて、現在のものと比べてみると、ずいぶん脂ぎっているようにみえる。自分のサイトの色使いを気にする余裕ができたのは、つい最近のようなのだ。

最近、私は自分のサイトに使う色を、浮世絵の色に近づけたいと思っている。浮世絵というと、随分派手なように思われているかもしれないが、実際は実に渋い色使いなのである。問題は、自分の想定した色と、他人の PC の画面で見る色が、必ずしも一致しないということだ。

そのためにも、なるべく渋い色に抑えておく方が安全のようなのである。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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