わけのわからない符丁
学校を出て大人社会に出ると、何だかわけのわからない言葉が幅を利かせていたりして、戸惑うことがある。
しかも、ビジネス用語集にも載っていなかったりして始末に負えない。 「ゾッキ」だの「オツナカ」だのいう単語は、よほど年配の業界人でないと知らなかったりする。
そう言えば、社会に出る前、中学校時代にも耳慣れない単語で目を白黒させたことがある。校内放送を行う放送クラブに所属していたころ、顧問の教師が 「ヒナガタをしっかり作らないと、間違いが起きるから、ヒナガタをちゃんとしなさい」と、しきりに「ヒナガタ、ヒナガタ」とまくしたてた。
中学生に向かって「ヒナガタ」なんて言われても、皆、わけがわからず、ポカンとするばかり。私は「多分 『雛形』と書くのだろうなぁ。それで、『放送原稿』のことを言ってるんだろうなぁ」と思って聞いていた。
ちなみに、新明解国語辞典では、「実物にかたどって、小さく作ったもの。模型」「書類などの、決まった書き方を示した見本」とあった。うぅむ。これでは、よくわからんなぁ。 「放送原稿の形式」と、具体的に言ってもらわなければ。
繊維業界でメシを食うようになってから、最初に目を白黒させたのは、「ゾッキ」という言葉である。普通の国語辞書はおろか、業界用語集にだって、ほとんど載っていない。裏街道用語である。これは「綿 100%」とか「ナイロン 100%」とか、要するに混紡や交織でないものを言うようなのである。
そういえば、この「ゾッキ」という言葉については、以前にも書いた。(参照)
一番わけのわからない思いをしたのは、「オツナカ」という言葉である。「ギョクをオツナカに渡すまでが勝負」なんて言われて、「ギョク」は「玉」で、多分「糸」のことだろうとは理解しても、「オツナカ」って一体何なんだと、途方に暮れた。
これこそ、正真正銘、業界用語辞典にも出てこない隠語である。周囲に聞いてもあまり理解している者はいない。あちこちしつこく聞いてみると、どうも「輸送業者」のことらしい。
最近、「オツナカ」の語源を初めて知った。「オツナカ」は「乙仲」で、もともとは一般港湾運送事業者のことらしい。旧「海運組合法」の「乙種海運仲立業」の略称だというのである。おいおい、それならトラック便の業者まで「オツナカ」なんて言うのは止めていただきたいものだ。
それから、私が未だに理解していないのは、ゴルフの世界の言葉の「ノーズロ」というやつだ。まぁ、私はゴルフをしないので、知らなくても構わないのだけれど。
大人は 「最近の若い者の言葉はわけがわからない」と嘆くが、本当は大人の言葉だって、相当わけがわからない。
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コメント
ノーズロース、つまり下着を付けていないので、「直接入る」という意味らしいです。
非常に下品な言い方であり、まともな人は使いません。
投稿: akazukin | 2004年10月14日 20:11
akazukin さん、
ノーズロース、つまり下着を付けていないので、「直接入る」という意味らしいです。
うぅむ、せっかくのコメントですが、
ゴルフをしない私には、これでもわかりません。
ごめんなさい。
投稿: tak | 2004年10月15日 08:45
この際ですから、きちんと覚えましょう。(笑)
ノーズロは正しくは「チップイン」です。
グリーンの外から直接ホールに入る事で、かなりの正確さか、もしくは偶然性が必要な「お見事ショット」です。
「直接入る」と書きましたが、もっと露骨に表現すると、「手間がかからずに球が穴に入る」となります。
完全なオヤジ用語のため、若い世代には通じませんが、オジサン世界では完全に市民権があるようで、某プロ(現シニア)がテレビ解説で使用してアナウンサーに叱られたという逸話があるようです。
「チップイン、ノーズロ」でググると結構出て来るようですが、そこまでする必要もないでしょうね。(^^)
投稿: akazukin | 2004年10月16日 21:43
ははぁ、なんとなくわかりました。
要するに、グリーンの上で必死にチマチマしなくて済んだということですね。
ちなみに、日本発のゴルフ用語って、
かなりオヤジオヤジした世界のようですね。
投稿: tak | 2004年10月17日 23:21