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2004年10月15日

セレブ

流行りの言葉を軽い気持ちで使い捨てにする広告・ファッション業界だが、最近のキーワードは、どうも「セレブ」のようだ。

バブル勃興期には「クラッシー」というのが流行り、その頃創刊された女性ファッション誌もまだ残っているが、「セレブ」はそれ以上の流行り方である。

そのファッション誌の「クラッシー」が創刊された時、死んだ景山民雄がエッセーの中で 「『階級的な』などという名前の雑誌なんて」と噛みついていたのを覚えているが、"classy" とは単に「高級な」とか「上品な」という意味合いで口語的に使われることが多いようだ。

"Classy" は、イメージとしては、最低でも田園調布とか芦屋に住んでいるような階級である。もっと言えば京都あたりの旧家とか、東京でいえば目白や麹町あたりにお屋敷を構えたりしているような、少なくとも三代続いたお金持ちといった感がある。

今回の「セレブ」は、"celebrity" の短縮形で、研究社新英和中辞典では 「名声, 高名.(マスコミなどをにぎわす)名士, 有名人.」 とされている。「儀式などを挙行する」とか「賞賛する」とかいう意味の "celebrate" と関連した言葉である。

ただ、"celebrity" というと、上院議員やミリオネアの家族とかいったイメージだが、"celeb" と縮まると、一発当ててマスコミに頻繁に登場しさえすれば、それでもう立派に資格保有者という感じになる。

ちなみに、"celeb" の最も古典的な使われ方は、ゴシップ誌の終わりの方にある、各種のパーティに出席した有名人のスナップを紹介したりするページで、「今週のセレブ」 などと銘打たれたりしている。誰が誰と同伴で現れたとか、誰のファッションセンスが良かったとか悪かったとか、案外下世話なトピックだ。

ちょっと金のかかったファッションでいろいろなパーティに出席し、カメラマンにポーズするようになりさえすれば、 「セレブ」なのである。日本では、こないだまでヤンキーしてたような娘でも、ちょっと当てればセレブである。仲間内でちやほやされるだけでも、「プチ・セレブ」 と呼ばれるに十分である。

「クラッシー」の流行った後にはとんでもないバブルが来たが、「セレブ」ぐらいなら、「プチ・バブル」で済むという感じなのである。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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