無視できない数字
科学に疎い私が、また微妙なチョンボをしてしまったようである。
今月 17日の 「一撃」 で、地球の円周に 1m だけ足したロープを赤道上に巡らせた時の地表との隙間が、約 16cm という 「無視できる」 ものと書いたのだが、実は「無視できない」レベルかも知れないのだ。
このほど、月の引力が地球上での地震発生の引き金になっている可能性が高いということが、米カリフォルニア大と防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の研究で明らかにされた。
月の引力は潮の干満を引き起こすだけでなく、実は地球そのものも微妙に変形させている。 1日 2回、地表面が約 20cm 上下する程度なのだが、これが地震を起こす地殻のひずみに影響し、「地震発生の最後のひと押し」になるらしいということがわかったというのである。(参照)
地表が約 20cm 上下する動きが地震発生の「最後のひと押し」になるというのでは、あだやおろそかにはできない。そして 20cm なら「最後の一押し」になるが、4cm 小さければ大丈夫ということでもないだろうから、16cm という数字だって、それほど馬鹿にしたものではない。
地球というのは、ただただうすらデカイものだと思っていたが、内部構造はかくもデリケートなもののようなのだ。こんなことなら、日本人全員が、タイミングを合わせて一斉にジャンプしてみたら、震度 1ぐらいの地震なら引き起こされるかもしれない。(無理か)
しかし、「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起こる」というバタフライ効果があるぐらいだから、もしかしたら、海の向こうのカリフォルニアあたりで大地震を引き起こすことになるという可能性だって、ゼロではない。人口の多い国は、莫大な金をかけて核兵器なんか開発するよりも、「せーのでジャンプしちゃうぞ」 という方がずっと空恐ろしい脅威になったりして。
ところで、最近の風潮では「地震予知は不可能」ということに傾きかけていたようだが、先頃、NASA と、カリフォルニア大デービス校のジョン・ランドル教授らが、かなり精度の高い地震予測システムを開発したとのニュースがあった。(参照)
まだまだ課題は大きいようだが、一時は「科学的常識」になりかかった「地震予知は不可能」ということも、時代が少し進めばあっさりと覆されそうなのである。
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