公園の芝生と温泉
天気のいい休日、ニューヨークのセントラルパークの芝生の上は、ただひたすら横になってゴロゴロする人で一杯だ。
それも、よく見ると白人ばかりである。アジア人や黒人は滅多にいない。白人というのは、太陽の下でゴロゴロすることがよっぽど好きな人種であるように思われる。
大体において、映画などでも屋外で肌を思いっきり露出させてゴロゴロするのがサマになるのは、白人である。彼らにとって、それはある種の文化的営みとなっている。アジア人や黒人には、そうした文化はない。
どうやら、白人は生まれ故郷のヨーロッパで、乏しい日の光を少しでも浴びるために、天気さえ良ければ日光浴をするために横になるという文化をはぐくんできたようなのだ。
日本人である私は、天気のいい日に公園でパンツ一丁になってゴロゴロするなどという趣味はない。何だか馬鹿馬鹿しく思える。日がな一日ゴロゴロするだけで、一体何が楽しいのだろうと思う。
しかし、だからといって日本人がゴロゴロ趣味を持たないというわけではない。日本人は公園の芝生でゴロゴロしない代わりに、温泉でまったりするという趣味がある。何も考えずに、ただひたすらのんびりして、幸せな気分に浸っているというのは、公園も温泉も変わりがない。
白人にとっての公園の芝生が、日本人にとっての温泉なのだと思えば納得がいく。文化のありようとして見ると、白人のまったりの方が、温泉よりずいぶんお手軽で安上がりなだけなのである。
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