台風の海で作業をしたのは
台風 23号関連で、とても気になるニュースがあった。千葉県九十九里の片貝漁港で、20日午前、防波堤延伸工事の機材などをロープで固定していた 2人が、高波にさらわれ、行方不明になった。
2人は市原市内の建設会社の社員だった。(参照)
この事故はいろいろなことを想起させる。
まず、今回の台風の規模が並はずれて大きかったということだ。台風が四国の土佐清水付近に上陸したのは、午後 1時頃であり、事故の起きた午前 8時頃は、まだ九州の南側をかすめたばかりだった。片貝漁港の防波堤工事現場では、資材が流されないように「今のうちに」固定しておこうと考えたのだろう。
しかし、この「今のうちに」という判断には、重大な誤りがあった。実際には「今のうちに」どころではなく、「もう遅い」だったわけだ。この判断を誰がしたのかというのが、とても気にかかる。
上部の判断による業務指令で、2人が仕方なく防波堤での作業にかり出されたとしたら、これは会社の責任問題となる。危険な現場で社員に作業をさせた責任は重い。
しかし、2人が自主的な判断で、「今のうちに」と防波堤での作業を始めたのだとしたら、補償問題はどうなるのだろう。命じてもいないことで勝手に命を落としたのだと言われたら、一体どうすればいいのだ。
結果論になってしまうが、誰の判断であろうと、台風の近づく海岸で危険な作業などするべきではなかった。作業資材が多少波にさらわれたところで、命を失うよりましではないか。
こうした当然の判断ができないほど、現場はシビアだったのだろうか。それとも、危険を甘くみていたのだろうか。
海岸の街で生まれ育った私は、高校生の頃は、波の荒れ狂う冬の日本海の防波堤で、けっこう危ない度胸試しのような遊びをした。だから、波の怖さはよく知っている。
海というのは、1時間か 2時間に 1度ぐらい、それまでとは似ても似つかぬほどの高い波が来る。それは必ずと言っていいほど来る。だから、1時間のうち 59分間は安心でも、残りの 1分で命を落とすこともある。
ましてや、台風の近づく海だったのである。それを考えると、今回の事故は悔やまれるところである。
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コメント
お久し振りです。
あ、やっぱりひっかかりましたか!
私も不思議に残念に思いました。
投稿: アリー | 2004年10月22日 11:08
>私も不思議に残念に思いました。
台風の海を恐れず仕事をするような
真面目な働き盛りであったろうと思われるだけに、なおさらですね。
投稿: tak | 2004年10月22日 13:09