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2004年11月13日

「リサーチ」 の裏側

昨日新宿で少々空き時間ができ、スタバを探していたところ、市場調査への協力を呼びかけられた。
以前にも応じて、謝礼に 500円分の図書券をもらったことがあったので、時間的にもちょうどいいし、気軽に応じてみた。ある商品のパッケージに関する調査だという。

この種の調査は、たいていすぐそばのビルの会議室かなんかに案内され、そこでいろいろなもの(既に掲載された新聞広告、試作品段階の商品デザイン、パッケージデザイン等々)を見せられて、それに対する率直なイメージや感想を聞くということになる。

今回のは、焼酎のパッケージ(紙パック)のイメージを調査するというもののようだった。3つほどの試作品を別々に見せられて、それぞれに関して、どんなイメージが浮かんだかを率直に答える。

とはいえ、回答の選択肢は既に用意されている。「さわやかな感じがする」とかいう設問に、"「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらとも言えない」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」" といった 5つから選ぶことになる。

回答の選択肢がなくて、自由に答える設問に関しては、こちらが率直な回答を述べると、「それはカラー・イメージから来てますよね」などと、調査する側の分析に都合のいい回答に勝手にアレンジして書き込まれる。「そうとも言い切れないんだが」と思っても、面倒だから、「まぁ、そうです」ということにする。

3つの試作品を見せられると、パッケージをデザインした会社がどれを「イチ押し」にしているかが、自然にわかる。そのデザインだけがきちんと力が入っていて、「多くの人は、これに一番好感を持つだろうな」と思わせられる。

他の 2つは、「デザインは悪くないけど、商品イメージからはちょっとズレるよね」と、「安っぽいよね」ということになりそうだ。というか、「どうぞ、そう思って下さいね」というメッセージをありありと感じる。要するに、ほとんど誘導尋問である。

多分、「どれが最も好感を抱かれるか」という調査結果は、3つの試作品で、65 : 25 : 10 ぐらいの割合になると想像される。商品イメージとは無関係に自分の好みだけで選ぶ人が 25%ぐらいいて、残り 10%は安っぽいものの方に逆に親近感を感じてしまうという人だろう。

この「リサーチ」の結果は、もっともらしい数表とグラフにまとめられて、クライアントに提出されるのだろう。最終的な選択結果は、初めから明らかだ。

初めから「これに決まり」という筋書きはできているのだが、 「市場調査の結果、好感度の高いのは "こちら" になっておりますが・・・」という提案の仕方で、クライアントには一応「最終選択の権利を行使した」という気にさせるわけだ。

要するに、クライアントは本当はあまり意味のない「アリバイ作り」みたいな「リサーチ」のコストまで負担するわけである。おかげで、私は今回も約 30分ほどの空き時間を提供して、500円分の図書券をいただくことができた。焼酎会社さん、ありがとう。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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