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2004年11月22日

「満月」 のワンタンメン礼賛

同じ山形でも、酒田は蕎麦の街ではなく、ラーメンの街である。蕎麦屋もないではないが、魚介類が豊富すぎるためか、ツユのダシが効きすぎて、せっかくの蕎麦の香りを損なってしまうことが多い。

しかしラーメンでは、すっきりしてコクのある魚貝系スープが、俄然強みを発揮する。

酒田のラーメンで特徴的なのは、ワンタンメンである。高校時代には、単なるラーメンでは腹一杯にならないので、よくワンタンメンを注文していた。酒田のワンタンメンのワンタンは、とても薄く繊細にできていて、そのふわりと溶ける感覚が、コシのある麺とのコントラストで、絶妙の食感を生み出す。

東京のワンタンメンになると、そのワンタンはいかにも「餃子の皮」風でかなり興醒めになるのだが。

久しぶりで、「満月」のワンタンメンを食した。以前からここのワンタンメンはうまいと思っていたが、さらに進化したその姿に、私は感動してしまったのである。

いろいろな具を入れてインパクトを強めたラーメンが全盛を極める中で、酒田のラーメンは、どちらかと言えば「昔ながらの中華そば」的な風情を強く残している。しかし、独特の魚貝系スープは、透明感があるすっきり味ながら、しっかりとしたコクがあり、「只者ではない」感覚を与える。

その上、麺は「酒田のラーメン屋の 8割は自家製麺」というだけあって、よく研究されて微修正が効いている。多くは打ち終えたばかりの麺に向かって、合掌礼拝するそうである。心して食わなければならない。

そして、あの絶品のワンタンである。ラーメン好きなら、満月のワンタンメンを食うためだけに、酒田を訪れてもいいぐらいのものだ。

tak-shonai の本宅サイト「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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