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2004年11月23日

「原口そばや」礼賛

昨日の昼頃に酒田を発ち、夜遅く筑波の里に着いたが、途中、山形県の上山(かみのやま)で、初めての蕎麦屋に立ち寄った。「原口そばや」という田舎蕎麦屋である。
大正時代から脈々と続いているという店で、村山の「あらきそば」に勝るとも劣らない、実に立派な田舎蕎麦だった。

このところ、連続の酒と食い物ネタで恐縮だが、何しろ山形県というところは美味いものばかり揃っているので、自然そうなってしまう。

実はこの「原口そばや」という店は、西川町の「一松」のご主人に教えてもらったのである。美味い田舎蕎麦が食いたかったら、行ってみたらいいというのである。それではと、酒田からの帰路に足を伸ばしたのだ。

国道 13号線から上山の中心街とは反対側に、ぐんぐんと山裾に入っていくと、「原口」という集落があり、その集落の入り口に「原口そばや」という看板が立っている。看板の矢印に沿って進むと、古くからの農家の作りの蕎麦屋に行き着く。

玄関を入ると、靴を脱いで座敷に上がる前に、注文をするというシステムになっている。注文といっても、盛りと大盛りとそばがきしかないので、迷うことはない。座敷には低い座卓が並べられ、近郷近在のお客と、はるばる遠くからやってきたお客が入り交じり、適当にゆったりと座って、太い田舎蕎麦をたぐっている。

食べ終わって寝そべっている客もいる。ものすごく気楽な雰囲気だ。

壁には、山形県知事や山形市長、上山市長の揮毫が額に入れて飾られている。私が高校時代に県知事だった我孫子藤吉氏の「以和為貴 (和を以て尊しと為す)」の書もある。こんないい字を書く人とは知らなかった。

出てきたのは、平清水焼き (多分) の四角い皿にたっぷりと盛られた、ひきぐるみ蕎麦粉十割の香り立つ蕎麦である。「あらきそば」ほどには太くないが、それでも十分に太い。というか、ちょっと平たく切られているのが特徴だ。もしかしたら、「一松」の別製そばは、この原口そばの影響で、あの平たい形になったのかとも想像した。

噛み応えのある蕎麦は、口の中にふんわりと蕎麦の風合いを広げる。のんびりといい気持ちにさせられる。なるほど、これなら、わざわざ遠回りをしても立ち寄る価値がある。これからはレパートリーに加えなければならないと思った。

山形の田舎蕎麦といえば、「あらきそば」ばかりが有名だが、あるところにはあるものである。蕎麦好きは、是非両方を試してみるといい。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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