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2004年11月11日

顧客サービスの 「フェア」 と 「アンフェア」 の境界

Reiko Kato さんの日記「晴れの日もある」にコメントして、妙なことを思い出してしまったので、それを書く。
彼女は ちりんさんの Blog の記事 に対するアンチテーゼとして、「顧客サービス」が時として「アンフェア」なものになってしまうことについて、警鐘を鳴らしておられる。

1980年代の終わり頃、バブル直前のことだが、某社の創立何十周年記念だかのパーティに出席した。私は当時、業界紙の記者をしており、その関係で何名かの記者仲間と共に招待を受けたのである。

そのパーティの受付では、なにやら番号の書いてある抽選券が配られた。受付の女の子によると、パーティの最後で抽選会が予定されていて、「豪華景品が当たるので、お楽しみに」ということだった。(景品はすべて、その会社の商品だった)

パーティの最後でいよいよ「抽選が始まり、マーケティング部長だったかが、ステージ上で箱の中に手を突っ込み、番号の書いてある玉を引っ張り出して、その「当選番号」を次々に読み上げた。その番号の印刷された抽選券を持っている人が、「当たり」で、指定の景品を受け取ることができるというわけだ。

最初は記者仲間と「当たったらどうしよう」なんて冗談を言い合いながら、自分の手にした抽選券の番号をチェックしていたのだが、どうも様子がおかしい。当選者が 4~5人出たところで、その「抽選」とやらの正体が見えた。当選しているのは、その会社の得意先の取締役クラス、要するに、当日の VIP だけなのである。

どうみても、その抽選は「操作」されていて、景品は初めから VIP にしか当たらないようになっているのであった。

抽選は次々に行われ、ステージ上では「当選」した VIP が、その会社の社長から手渡される景品を、満面の笑みを浮かべて受け取っている。

我々プレス関連の出席者は、かなりしらけてしまった。決して景品にありつけなくてがっかりしたというわけではない。それは、「抽選」と偽った「見え見えの猿芝居」に付き合わされたことへの不快感である。

景品を進呈する対象が初めから決まっているのなら、抽選券は最初から VIP だけに配ればよかったのである。一般参加者にまで配っておいて、実際の抽選では当選対象から除外してあるというのでは、あまりにも不細工な「やらせ」である。

あの時、「抽選に当たった」ということで景品を贈呈された VIP の中にも、そのアンフェアさに気付いた人もいたに違いない。そして、気付いていながら景品を受け取ることに、何らかの不興を感じた人もいるだろう。(いなかったとしたら、日本の経済界の将来は暗い)

我々にとっても、そのパーティの効果は企業の「アンフェアな体質」を印象づけるだけのものとなってしまったのである。

顧客サービス分野の流行り言葉となっている CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、ぶっちゃけた話でいえば、重要顧客へのサービス集中化、つまり、上得意の「囲い込み」である。もっとはっきり言えば、顧客をランク付けし、「差別待遇」することである。

それをするなら、初めからそういうこととアナウンスした上でやればいい。「当店でお買い物をすればするほど、特典が付きます」というやり方だ。それならそれで、決して「アンフェア」というわけではない。

しかし、「抽選」という、いかにも「単純に公平」であるべき手段を装って、実は裏で「やらせ」をしているのでは、それがバレれしまった時には、企業の「アンフェア」な体質を自ら喧伝したのと同じ効果を生むのである。

「上得意」にサービスを集中したいのなら、それなりのメソッドでやるべきである。「抽選」を装ってそれをやるのは、当人たちの思惑は何であれ、結果的に「アンフェア」である。それで恩典を受けた「当選者」は、知らぬうちに「共犯関係」を結ばされたようなものである。

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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