クサイ台詞
CNN のサイトで、"もっとも 「クサイ」 映画のセリフ" というのが紹介されている。「タイタニック」のディカプリオ演じるジャックの「俺は世界の王だ!」だそうだ。
「クサイ(cheesy)」セリフの選定は、英国のパンメーカーの、チーズ風味クランペットの新発売記念ということらしい。
ちなみに、英和辞書(研究社 「英和中辞典」)で "cheesy" を引いてみると、「1 チーズ質の, チーズのような; チーズの風味のある、2 《俗》 下等な, 安っぽい」という訳に行き当たる。2番目の俗語的意味は、まさに日本語の「クサイ」にぴったりだ。
その昔、アントニオ猪木がオランダのウィリエム・ルスカと異種格闘技戦を行ったとき、事前の記者会見で、ルスカが猪木にものすごくクサイチーズを贈ったことがあった。「これでも食って、少しは俺の相手にふさわしい体力をつけろ」という強烈な臭い付きメッセージだった。
猪木はそのチーズの臭いを嗅いでみて、「オエッ」となっていた。しかし、さすがにさるもので、さっそくお返しに納豆を贈ったと記憶している。クサヤやなれ寿司でなくて、ルスカは助かっただろう。
世界一臭い食品としてつとに有名なのは、スウェーデンのニシンを発酵させた缶詰「シュールストレミング」である。ウソか本当か知らないが、スウェーデンには、この缶詰を屋内で開けてはいけないという法律があるという噂まである。
ところで、クサイセリフと言えば、私は「カサブランカ」でボギーがいう「君の瞳に乾杯」にとどめを刺す思う。原語では "Here's looking at you, kid." である。"Here's to you" で「君に乾杯」 だから、うまく訳したものだが、こんな台詞、私は恥ずかしくて言えない。
【H20.8.1 追記】
カサブランカのセリフ、私はずっと "Here's looking at you, babe"だと思っていたのだが、あちこちで検索すると、どうやら "Here's looking at you, kid" らしいので、そのように訂正した。もしかしたら、何度か言っているうちに、"babe" のバージョンもあって、それが強く印象付けられたのかもしれないが。
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