中越の菩薩たち
新潟中越地震の被災者たちの間で、スマトラ沖大地震の被災者に義援金を送る動きが広がっているという。「今度は自分たちが恩返しを」 ということだそうだ。(参照)
何という素晴らしい人たちだろう。私は折に触れて中越の被災者たちの「辛抱強さ」を讃えてきたが、それ以上の美徳である。
「知のヴァーリトゥード」 の BBS に alex さんが 昨年 11月 5日に以下のようにコメントを寄せてくれた。
今度の新潟中越地震の被害者達。
インタビューに答えるそのコメントがいかにもおとなしい。
恨みがましいこともほとんど言わずに・・・。2ちゃんねるなどでこれ以上ないほど、口汚く罵倒合戦をする若い人たちの親であり祖父母である年代の人たちの、人生が破壊されるような大災害のまっただ中で、つつましく、自己主張のほとんど無い、我慢を当然とするような精神的態度を見ていると、古い昔の日本人を見ている気になります。
日本人の性格についてはいろいろな批判もありますが、今回は美しいものを見たという気持ちです。
本当に、私も美しいものを見たという気がしていた。あれだけの大災害に見舞われながら、ほとんど泣き言を言わない人たち。そして、山古志村の崩れた家に再び訪れた時、初めて泣き崩れた老婆の、その涙の理由が、ご先祖の位牌が泥流にさらわれて失われたということであったことなど。
本当に、涙の落ちる思いがしていたのである。
そして、今回のこのニュースである。この人たちは、どこまで辛抱強く、義理堅いのだろうが。自らの災害からの復興が未だ進まないうちに、外国の災害に思いを寄せるという、その心根を美しいと言わずになんと表現したらいいのだろう。
菩薩とは、「己(おのれ)未だ度(わた)らざる先に、衆生を度(わた)さんと発願修行するもの」である。その意味で、彼らはまさに菩薩である。
本当に、「眠れる遺伝子」のスイッチがオンされるような気がする。こうした心根を、我々は失ってはならないと思うのである。
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