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2005年1月27日

『壷坂霊験記』 で思うこと

私はソニーの初代ウォークマンを持っているほどの音楽好きである。これは、今では電池を入れても回転ムラで聞くに耐えないが、「お宝」として永久保存している。

最近は iPod mini を購入して、手当たり次第にいろいろな曲を入れているが、最近一番聞くのは、何と「義太夫」である。

世界広しといえども、 iPod mini で義太夫を聴いているのは、10人といないのではないかと思うが、これがなかなかいい。

「義太夫」とは、「文楽」とも言われる人形浄瑠璃の語りである。太棹の三味線との掛け合いで、絶妙の趣を醸し出す。繰り返し聞いていると、太夫の語りと三味線のからみが、とてもよく計算されていることがわかる。民謡などの、歌と三味線がユニゾンしているだけというのとは、レベルが違う。

近頃のお気に入りは『壷坂霊験記』である。これは明治に入ってからの新作浄瑠璃だが、なかなかいい。浪曲にも取り入れられて、「妻は夫を慕いつつ、夫は妻をいたわりつ・・・」 という名文句で知られる。

これは疱瘡のため盲目となってしまった沢市の眼を治さんと、妻のお里が、壷坂寺の観音様に願をかけ、3年間お参りし、それによって、沢市の眼が開くというお話である。「三つ違いの兄さんと、沿うて暮らしているうちに・・・」というさわりは、なかなか泣かせるものがある。

この当時は、信仰によって病気が治ったり、盲目が癒されたりするということが、それほど唐突ではなく、むしろあり得ることと信じられていたわけである。今では、観音様にすがって病気が治るなどと言っても、ほとんどの人は信じない。

しかし、筑波大名誉教授の村上和雄氏が主張されているように、ある種の心持ちが、眠れる遺伝子のスイッチを「オン」にし、病気が快方に向かうということは、あり得ることのようなのである。ある種の心持ちとは、喜び、感謝、感動など、ポジティブな想念なのだという。

案外、文楽の舞台で『壷坂霊験記』を見て感動したりするのは、心と体にいいことかも知れない。

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