「トリックスター」 としてのホリエモン
「成功すれば無限大、失敗してもゼロになるだけ」というライブドア堀江社長の発言が、テレビで繰り返し流されている。
確かに堀江氏ご当人にしてみれば、そうに違いないのだろうが、そうした「個人商店的発想」が、彼の強みであると同時に、アキレス腱でもあるような気がするのだ。
彼のこの発言は部分的なもので、もう少しきちんと紹介すると、次のような文脈で語られたらしい。
「失敗しても命までは取られない。食っていくだけのものは残してもいいように制度も作られている。だから失敗してもゼロになるだけで、決してマイナスにはならない。一方で、成功すればその成果は無限大。チャレンジしなければ損というもの」
確かに、株式会社の原則は有限責任だし、自己破産という制度もあるから、「ゼロになるだけでマイナスにはならない」 というのは、妄言というわけではない。
しかし、こうした発想で「イケイケドンドン」が効くのは、背負うものの少ない身軽なうちだけで、その内にそういうわけにも行かなくなる。現に、今の状態でも(フツーの)株主にとっては、株価暴落などという事態になれば、差引勘定でいえば確実にマイナスということになる。彼は既にそこまで背負っているのだということに、案外無自覚な気がする。
彼が本気でメジャーなメディアを支配することを希望するならば、今の「トリックスター」的な役回りから脱しなければならない。
まあ、外野席から見ている限りは、堀江氏の目論見が成功するしないに関わりなく、思う存分「トリックスター」を演じてくれる方が面白いことは面白いのだが。しかし、そうした視点でみると、彼の場合、レトリックが下手くそすぎるのが難点で、一流のトリックスターにはなれそうにない(彼自身も、なるつもりはないだろうが)。
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コメント
ホリエモンがクダラナイのは、挑戦しているとホザイテいるのが「金持ちになりたいだけ」という極めて安直な目的に過ぎないことでしょう。よっぽど貧乏に育って、そういうコンプレックスに塗れて生きているんでしょうね。
安直過ぎて相手をする気にもなれないのが、ちょっといい気になり過ぎて度を越してきたといったところでしょう。している事の重大さに応じて、お灸を据えてやる必要はあるのでしょうね。
それよりも、あんな馬鹿がイケズをする素地を作ってきたのだから、責任のある大人たちが猛省して真面目にやることのほうが大事だと思いますよ。
投稿: kant | 2005年2月20日 10:18
kant さん:
当ブログごときにおいでいただき、光栄の至りです。
ご著書のうち、『純粋理性批判』 だけは読ませていただきました。
私としては、お灸を据えるより
しばらく傍観したいと思っています。
この騒動を通して、いろいろなことが見えてくるように思いますので。
投稿: tak | 2005年2月20日 11:22