サッカー日朝戦の副産物
一日遅れのネタで恐縮だが、W杯最終予選の対北朝鮮戦の話である。と言っても、試合そのものについてではない。
それよりも、この試合が平均で 47.2%、最高で 57.7%という視聴率(関東地区)をとったという事実の方に、私の興味は向いてしまう。この数字は、尋常じゃない。
確かにかなり前から、日本列島は盛り上がっていた。「2月 9日は絶対残業はしないからな」とか、「9日の夜は、テレビのない飲み屋は閑古鳥が鳴くだろう」などという話を、あちこちで耳にしていたので、かなり過熱しているなと思っていた。
日本中でこれほどの熱気を呼んだ最大の要因は、やはり「相手が相手」だからということだろう。もしかしたら、「ドイツに行こう」という意識よりも、そっちの方が大きかったかもしれない。イラン戦では、多分そんな視聴率は稼げないと思う。アウェイということで、時差もあるし。
後からいろいろ調べてみると、テレ朝はずっと以前から徹底して番宣をして盛り上げを図っていたようだし、他局もいろいろな取り上げ方をしていたようだ。 「北朝鮮チームは全員軍人」とか、「日本戦に勝利したら、高級住宅と高級車が与えられるらしい」とかいう、もっともらしいがちょっと怪しい話が、あちこちで伝えられていた。
知らぬうちに、実際の試合以上の意味づけとか幻想とかいったものが発生していたように思う。ちょっと「都市伝説」じみてさえいる。「恐い物みたさ」と言ったら言い過ぎか。あるいは、「悪役」がコテンパンにやっつけられるのを見たかったのか(実際のところ、これは案外大きいと思う) 。
ところが、いざ試合が始まってみると、北朝鮮チームの選手たちは他の国と変わらぬ、普通のスポーツマンだった。ちょっと違うのは、ボールに対する執念が無茶苦茶強いということぐらいで、決して「エキセントリック」には映らなかった。それに、「コテンパン」というわけにもいかなかった。
私自身は、内心で「彼らの体格を支える食糧を他にも回したら、メンバー数 × 3人分ぐらいの飢えがしのげるだろうに」なんてことを思っていたが。
我が家の娘たちは、試合が終わってから「いい人たちじゃん。もう帰らなくていいから、日本で働きなよ~」なんて言っていた。そう思った人は案外多いだろう。
そして、「結局、変なのは、やっぱり "あの人"」というフォーカスが、これまで以上に明確になったかもしれない。
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