「モテオヤジ系」 雑誌をめぐる冒険
最近、「モテオヤジ系」雑誌というのが注目なのだそうだ。ざっと挙げると、"LEON"(主婦と生活社)、 "UOMO"(集英社)、 "BRIO"(光文社)、"Gentry"(アシェット婦人画報社)といったところか。
徹頭徹尾アート紙使用で、いかにも重そう。自分で買う人は少なそうだ。
いずれも、婦人雑誌から出発したか、それを得意とする出版社から出ており、雑誌のくせに分厚い背表紙をもつスタイルは、いかにも婦人雑誌っぽい。あの重量感では、通勤途中で読むために持ち歩く人なんて皆無だろう。
都心の書店の雑誌売り場ならば、どれも立ち読みできるが、ちょっと郊外の書店になると、なかなか一度に揃っていることがない。要するに部数が確実にはけるというわけではないというのが、実情のようだ。
どちらかといえば、何とかサロンの待合室か何かのラックに、「いかにも」という感じで置いてあり、読むともなくパラパラとページをめくるためにある雑誌だ。そうした店にくる高額所得者に向けた広告さえあれば、採算は取れるという作りである。
そうしたコンセプトの雑誌の本家 ”Esquire" とか "GQ" がそうであるように、これらの雑誌も定期購読を推奨している。つまり、「フツーのおじさん」が気の向いたときに最寄りの書店で買い求めるというよりは、「高級店の待合室やロビーの備品」という法人需要狙いの色合いが濃い。
ただ、 ”Esquire" と "GQ" が、どちらかといえばアメリカっぽいコンセプトであるのに対し、最近の 4誌は、イタリアっぽさが表に出ているような気がする。"LEON" はジローラムがメインキャラだし、"UOMO" は雑誌名そのものがイタリア語だ。イタリアがトレンドというムードは、まだ根強いみたいだ。
"UOMO" といえば、昨年秋、集英社が満を持して創刊した雑誌だ。他社の切り開いたマーケットを、物量作戦でかっさらう手法が出てきたところで、そろそろ飽和状態とみればいいというのが、通り相場である。
同誌のキーワードは、「エレガンテ」 。イタリア語の多い音楽用語では 「優雅に」 という意味で用いられるが、要するに、英語で言えば「エレガント」ということだ。「エレガント」は手あかが付いてしまったが、「エレガンテ」なら、まだ使いでがあるということのようだ。
で、その特集のエレガンテ度チェックに出てくる項目はといえば・・・ 「エステネイルサロンへ定期的に通う」「オンとオフで時計を変える」「美味しいショコラを手土産にできる」「負け犬の女友達がいる」などなど・・・
何だかホリエモンのカリカチュアみたいだが、笑ってはいけない。どうやら案外「マジ」のようで、完全に「くすぐりネタ」というわけでもなさそうだ。これを見る限り、ご心配なく、確実に飽和状態に達しているようである。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- NY 図書館による「禁書」の復権(2022.04.21)
- 「同定」・・・名前を知ることの大切さ(2022.02.14)
- 商品の分類がメチャクチャな書店(2021.03.06)
- 「おじいさんの本買います」という広告(2021.01.22)
- 『安倍晋三 沈黙の仮面』を買うのは止めた(2020.09.13)







コメント