「レシート」と「領収書」
ホームセンターやファミレスのレジで、「当店のレシートは領収書としてお使いいただけます」 という貼り紙をよく見かける。
日本では「レシート」と「領収書」は、意味が違うようなのだ。レシートは POS から自動的に打ち出されるロール感熱紙、領収書は手書きというお約束である。
こうした例はほかにもある。「インポート物」というと高級ブランドだが、「輸入品」というと、今どきは中国製の廉価品を指す場合が多い。「旅行」は個人で「ツァー」は団体、「支持者」は政治がらみで「サポーター」はサッカー、「手紙」は郵便で「メール」は E メールだ。
レシートの話に戻ろう。「当店のレシートは‥‥」とわざわざ断ってある場合が多いが、別にどの店のレシートだって同じだ。経費の請求でも税務署の監査でも、何の問題もない。
わざわざ POS から打ち出されたレシートを「サービスカウンター」か何かに持参して、手書きの領収書を書いてもらうなんてことがあるが、実は、あれは無駄な話である。今どき、一番コスト圧迫要因となるのは人件費だからだ。
何故にそんな無駄なことをするのかといえば、会社の経理担当者がうるさいことを言うからである。何故にうるさいことを言うかといえば、それはプライベートで飲み食いしたレシートを、会社の経費として請求したりする輩がいるからである。だから、わざとハードルをちょっとだけ高くしておくのだ。
ほんのちょっとしたズルをしたがるやつが少しだけいるために、社会全体として無駄なコストをかけているのである。かなり馬鹿馬鹿しいことだ。だから店によっては、わざわざ「当店のレシートは・・・」と、言わずもがなの貼り紙をしているわけだ。
ところで、この謳い文句、おかしいといえばおかしい。日本語の「領収書」は、とりもなおさず英語で "receipt" だからである。それで、こんな おかしな英語が現れたりする。
"The receipt of our shop can be used as a receipt."
(私どもの店の レシート=領収書 は、 レシート=領収書 として使うことができます)
「でも、レジ袋はもはやレジ袋としては使えなかったりして・・・」 と、件のページでも茶々を入れられている。これを英語に翻訳した人、自分でおかしいと思わなかったのだろうか?
うーむ、やはり思わなかったんだろうなぁ。多分それどころではなかったのだろう。その下の英文のめちゃくちゃさ加減を見れば、相当苦し紛れの「翻訳」の結果というのが察せられる。
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