受信料 「不払い 70万件」 の数字のトリック
NHKは 15日、一連の不祥事による受信料の不払いが、2月末時点の暫定値で約 56万件となり、3月末には 70万件に達する可能性があると報告した。
1月の予算案作成時に予測していた 3月末の不払いは 45−50万件だったので、大甘に高をくくっていたわけだ。
しかし、不払いが 70万件に達したのが一大潮流にでもなっているかのような報道だが、そんな大きな数字だろうか? かなり疑問に思ったので、ちょっと調べてみた。
日本の世帯数は、約 4980万世帯とされている。このうち、テレビ受像器を持っているのが約 8割の 4000万世帯と仮定しよう。4000万のうちの 70万は、比率で言えば、1.75%に過ぎない。なんだ、大した数字じゃないじゃないか。売上げが 2%以下のレベルで減ったところで、それを企業努力で吸収できないなんてことが、あるはずがない。
より詳細に調べると、平成 10年発行の通信白書によると、平成 9年12月現在の受信契約総数は、約 3620.9万契約だった(参照)。とすると、減少比率は、1.9%ほどになる。それにしたって、吸収できない数字じゃない。
待てよ。テレビを持っている世帯が 4000万件とすると、残りの 380万件はどこに行ったのだ?
いや、これだっておかしい。 「受信契約総数」 というのは、会社や事業所に設置してあるテレビ受像器も対象になるはずだ。それなら、世帯数の 4000万プラスかなりの数の事業所が対象となるはずだ。
とすると、正確なデータに基づいているわけではなく、あくまで想像上の数字だが、少なく見ても 300万~400万件くらいの「不払い」は、元々あったのではないかという気がする。今さら 70万件ぐらいでオタオタするのでは、甘ちゃんにもほどがあるではないか。
今回、不払いに転じた(そして、間もなく転じるであろう分を含めた)70万件は、確かに「一連の不祥事に対する抗議の意味」があるのだろうが、それ以上に、たまりたまった「正直に払い続けていることの不条理感」が大きいかもしれない。
NHK なんてほとんど見ないのに、一定額をふんだくられるというのは、たまりたまれば、かなりのストレスである。かたや、10件に 1件ぐらいの割で、受信料を払わずにテレビを見ているやつがいるのは、公然の秘密みたいなものなのだから、鬱憤はなおさらだ。
NHK の官僚機構は、そのことに気付かなかったんだろうなぁ。その上で、あんな不正が発覚したら、そりゃあ、払うのが馬鹿馬鹿しくもなろうというものだ。
夫婦げんかの直接の原因はささいなことでも、その裏には、「長い間、我慢を重ねた鬱憤」というのがある。NHK にしてみれば、「何でまた、この程度のことで、70万世帯がケツをまくるんだ」 と思っているだろうが、「この程度のこと」の背後には、いろいろな思いがトグロを巻いているのである。
今回の「一連の不祥事」は、長年不満に耐えた妻が荷物をまとめて出て行ってしまうきっかけとなった、「決定的契機となったいさかい」みたいな役割を果たしてしまったのだろう。
こうなると、気分の問題だから、後から後から不払いが増え続けることになっても不思議ではない。私なんかは、受信料は「御奉納金」と諦めているから(だって、「奉納」以外の根拠は思い浮かばないではないか)、今さら不払い手続きをするつもりはないが。
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コメント
不払いというのではないですが
私の家の場合すごーく長く視聴料を払っていましたが家族全員が仕事(専門職なので忙しくて)をしていて民放も含めてテレビを見てなかったものですからNHKに解約したいと電話したんですね。そしたら家はアンテナは無いのでケーブルテレビには入っていたんですが解約してください。そうしましたら破棄手続きします。と言われたのでケーブルを解約して電話したんですが職員の態度が急変して受像機があれば強制だとかテレビがあるかどうか家に来て強制的に調べる(家宅捜索ですね)とか脅かされまして。法律でも決まっていると喚いていましたね。局の職員の偽証なわけですから結局弁護士に相談する旨を伝えたら他の職員からの電話で破棄できましたね。(録音テープはとってあります。)
しかし先日また脅かしに来ましたが。。。
家に許可無く強引に入ってきたら警察を呼んだ方がいいですね。
テープも取ってありますし。
暴力団的な態度は昔から変わらないですね。
本当に昔になりますが家の実家でも勝手に家に上がってきたと聞いてましたから。
投稿: てん | 2005年10月23日 16:23
てんさん:
放送法第32条 (受信契約及び受信料) では、以下のようになっています。
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」
あなたの家のテレビがケーブルテレビ解約後に、NHK の放送を受像できないのであれば、「契約破棄」 なんか申し入れなくても、「契約の条件が失われたので、契約自体が成立しなくなった」 と言って、単に支払いを停止すればよかったのではないでしょうか。
映らなくなったテレビは、「協会の放送を受信することのできる受信設備」 じゃないですからね。
「テレビの形をしたモノ」 はあるけど、「協会の放送を受信することのできる受信設備」 ではないよと。
そもそも、NHK との間に取り交わされた 「放送受信契約書」 自体が、まともな契約書の体裁をなしていない紙切れですから。それで十分でしょう。
ちなみに、私んちは、まだ 「御奉納」 のつもりで支払ってます。
投稿: tak | 2005年10月23日 21:55
そうなんですね。勉強になりました。
でも暴力団のような対応でしたから
怖かったですよ。今も家に事実存在しない法律をたてに脅かしに来ていますし。
法律が存在して違反行為である事。
家宅捜索権限がある事。
を主張しています。
彼らの言い分はテレビが家に存在すればそれがどんな形であれ(チューナーがなくても支払い義務がある)PC用のチューナーレス液晶モニタも対象なのかな?
室内アンテナを設置して視聴しているかもしれない
だからテレビを処分しろと言われましたし
職員が家に入って確認するとも言われました。そういう法律があって認められているという事も言っています。実際に局から言われた事です。
ですから上記に書かれている放送法第32条をこちらが主張しても職員に喚かれるだけですね。法律違反だ家に上がらせろと。
投稿: てん | 2005年10月23日 23:51