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2005年3月29日

欲しい服が見つからない

気に入っていた服がヨレヨレになるか擦り切れるかして、着られなくなってしまった時、それとまったく同じものが欲しいと思ったことがないだろうか。
あるいは、まったく同じものではないにしても、よく似た色とデザインの服を探して、足を棒にしたことはないだろうか。

実際には、かなりベーシックなデザインのものでも、まったく同じ洋服というのはなかなか探しにくい。それは、毎シーズン新しいデザインの服を作って売るという商売がある以上、同じものというのは出てこないのである。バーバリーのトレンチコートといった「変わらないこと」に価値があるような商品でも、ディテールは結構変化している。

私は、ウィンドウズの新バージョンが出る度に「要りもしない余計なお世話機能」が増えてしまうのにうんざりするのと同じ程度には、毎シーズン洋服のデザインが変わってしまうのに、内心うんざりしている。

よく「欲しいデザインの服がない」とか「気に入る服が見つからない」とかいうのを耳にする。悲しいことである。世の中にこれほどの服があふれかえり、「多品種小ロット」の時代などと言われながら、実は、皆同じようなトレンドを追いかけているだけなので、大同小異のものしかないのである。

昨年の夏には店頭にあったあの色が、今年の夏の店頭からは姿を消すのである。「あの色」が欲しいのであって、今年の店頭にあふれかえっている色など、どれも欲しくはないということが、とても多いのである。

私の服の好みなんていうのは、25歳の頃からちっとも変わっていない。要するに「身に付けて気恥ずかしくない服」が着たいというだけなのだが、それがなかなか見つからない。流行のサイクルに沿って、7~8年に一度ぐらいしか市場に登場しないのである。

デザイナーは流行を追う。ところが、消費者の多くは、流行なんて追わないのである。追ってもいない流行を押しつけられるだけである。それを着ないと、人間の価値が下がるかのように思いこまされているだけなのである。本当に身に付けたいものが見つからないから、しかたなく店頭にあるもので妥協するのである。

私はアパレル業界の端っこでメシを食っている身なので、トレンドの変化でビジネスを維持していく業界の構造は、とてもよく理解している。それでもなお、毎年毎年同じものだけを提供し続けるメーカーがあってもいいと思っているのである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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