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2005年3月 8日

ボーダフォンは「いじめられっ子の転校生」

我が家では、私と妻と次女の 3人がボーダフォン・ユーザーである。Jフォン時代、ファミリー割引率が高く、ショートメールの受信が無料だったという、単純に経済的な理由で選択したのである。
ところが、このボーダフォンが今、国内市場で一人負け状態になっている。

電気通信事業者協会の発表によると、ドコモと au が順調に増加する一方で、2月のボーダフォン加入者数は、53,200件の純減となった。1月の約 58,000件の純減に続き、2カ月連続の大幅減になったという。

この不振の原因は、第三世代(3G)ケータイの出遅れとされている。巻き返しのために、今冬の商戦で海外でも使える 3G の 7機種を発売したが、消費者の支持を得られていないという。

しかし、それが本当の原因だろうか? 私に言わせれば、ボーダフォンの不振の根本的な原因は、端的に言えば、「J フォン」 でなくなったことである。行き詰まっていたわけでもなんでもないブランドを捨てて、ごっつい耳慣れないブランドを持ってきた時点で、既に彼らのマーケティングは失敗していたのだ。

我が家の娘 3人は、「J フォン」 が ”Vodafone” になると知った時点で、ある種の反感を示していた。実際に、長女と末娘はさっさと ドコモに鞍替えしてしまった。「ケータイ、何使ってる~?」 と聞かれて、「ぼーだふぉんよ~」 と答えるのに、とりあえず大きな抵抗を感じたのだ。それならば、ケータイ番号の変わる方がまだマシだと判断したのである。これは大きな要素である。

ということは、キャリアを変えても番号が変わらないという、ナンバーポータビリティ・サービスがスタートしたら、この傾向には拍車がかかるということだ。ボーダフォンは時限爆弾を抱えているようなものだ。

今や、ケータイは機能性商品と言うよりは、感覚性商品である。必要不可欠な機能なんていうのは、通話とメールぐらいのもので、あとは 「無駄な遊びの要素」 で売っているのだ。

日本の若い女の子が常に持ち歩く感覚的な商品として、「ボーダフォン」なんていうブランド名は失敗である。身近でフレンドリーな感覚に欠ける。重すぎる。馴染めない。よそよそしい。頭文字の 「Vo」 を 「ボ」 と表記した時点で、どんくさいし、アイデンティティも薄まった。得体が知れない。エイリアンだ。生まれながら、カタカナに向かないネーミングだった。

あの、まっまっかにウナギがとぐろを巻いたようなロゴマークも、拒絶の対象だ。そもそも、ケータイに乗っかる色とデザインじゃない。

日本の若い世代はグローバル化しているなどと、たわけたことをいう評論家がいるが、とんでもない。逆である。彼らは思いっきりドメスティックである。海外旅行といっても、日本語で用の足せる所にしか足を向けない。インターナショナルなセンスなど、はっきり言って持ち合わせていない。

そんな連中に「海外でも使える」なんて訴求しても、アピールするわけがない。国内ですぐ近くにいながら、「おはよ~」とか「今、何してる~?」なんて、どうでもいいことをメールし合って楽しんでいる、世界標準から外れまくっているユーザーたちには、国際性なんてことより「かわいいデザイン」の方が、ずっと重要なのだ。

日本以外のマーケットでは、ケータイなんて、「たかがケータイ」として割り切られている風情がある。通話とメールができれば、それでいいじゃないかという具合である。とくにヨーロッパの感覚では、国境を越えて通話できさえすればいい。

ところが、日本では「されどケータイ」なのだ。海外通話なんて二の次だが、使い勝手としては、トヨタの自動車みたいに、痒いところに手が届く、至れり尽くせりでなければだめなのだ。

海外でどうのこうのより、さっさとパケット定額制を打ち出すべきだったのである。というより、それ以前に、「J フォン」のブランドを捨てるべきではなかったのだ。あれ以来、ボーダフォンは、ヨソの国からやってきた「いじめられっ子の転校生」になってしまったのだ。

携帯電話に限ったことではないが、日本というのは、ずいぶん特殊事情の先行するみょうちくりんなマーケットなのである。とくに、ケータイみたいな感覚性の強い商品で、「これが国際標準だ」みたいに、ごっついコンセプトを持ち込まれても、受けるわけがないのである。

日本って、どこかにまだ鎖国しているようなところが残っているのだ。

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コメント

ボーダフォンの敗因はやはり朝令暮改の料金プランじゃないでしょうか?

私は12ヶ月使ったら3ヶ月無料の「ずっと」を使っていますが、旧料金プランのため「くりこし」は使えません。今のところ無料分をちょっと上回るペースで使っているので無駄はでなないのですが無駄が多くなったらばっさり切るつもりです。

ハッピータイムも半年くらいで改悪されるし、これが外資のドライさなのかなって思います。

普通のユーザーが外国で通話できたって何のメリットもないでしょうに。

まぁ、貧乏人は相手にしないで、海外にしょっちゅう行くお金持ちたちだけを相手にしたいのかもしれませんね。

3か月無料が終わるわびに「いつ解約しようか」とおもいますね。

投稿: Kissy | 2005年3月12日 17:39

Kissy さん、書き込みありがとうございます。

おっしゃる通りかもしれません。
「しれません」というのは、
実は、私は料金プランについて、あまり気にしたことないからです。

というのも、発信より受信の方が圧倒的に多いし、
メールなんて、ほとんどは PC でするので、
ケータイメールは家族とのちょっとしたやりとりだけだし、
気にするほど、料金かからないんですよ。

だから、私個人としては、
ケータイのキャリアなんてどこでもいいんです。

選択肢としては、海外で利用できればありがたいかなと・・・
でも、今すぐ対応機種に変えようとも思わないし・・・

どーでもいーやという感じです。
中年のオジサンは、このタイプ多いですよ。

投稿: tak | 2005年3月14日 01:37

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