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2005年4月28日

識字能力問題とサイトの読みやすさ

Usability というサイトに、「識字能力の低いユーザ」という記事がある。

「識字能力の低いユーザは、高い識字能力を有するユーザとは違う読み方をする。流し読みはせず、一語一句を読み拾おうとするために視野が狭まり、要点を取り損ねてしまう」 というものだ。

「識字能力の低いユーザ」 とは、読み書きができないのではなく、「読むことはできるが、楽々と読めるわけではない」という人々のことだそうだ。このサイトに来てくれる方のほとんどは、これには当てはまらないと思う。

米国教育省の 全米成人識字能力調査 によると、米国の人口の 48%は識字能力が低いということだ。そのため米国のウェブサイトは、こうしたユーザのために、以下のような配慮をしなければならないと提案されている。

  • 平易な文章を書くこと。ホームページや重要なカテゴリーのページ、ランディング・ページなどには小学 6年生レベル、その他のページも、中学 2年生レベル程度にする。
  • 要点はページの冒頭におき、ほんの 2~3行を読んだだけで諦めてしまうような読者の目
    にもとまるようにする。
  • 重要な情報は、他と区別できるよう仕切って見せ、スクロールして見失う危険性を最小限にする。
  • 動いたり、変化したりするテキストの見せ方は避けること。

米国の多くのウェブサイトがこうした配慮をしてくれると、本当に助かると思う。それは私自身、日本語こそきちんと使いこなせる(ことを望む)が、こと英語になってしまうと、まさに「識字能力の低いユーザ」の範疇に入ってしまいそうだからだ。

さらに、ここで提案されている留意点は、英語のサイトだけではなく、日本でも多くのサイトで意識されるべきことだ。「スキルの高い読者でも、冒頭にあるいくつかのパラグラフに価値を見出せなければページを去ってしまう」と指摘されているとおりである。

重要ポイントを先に書いてしまうというのは、新聞記事でもそうなのだが、商業文の鉄則である。コマーシャルなものでなければ、起承転結式の文章もあるので、必ずしもそれにこだわる必要もないが、それでも、ウェブのコンテンツは長すぎてはいけない。

私が某所で書いているメルマガは、1200字を目安にしている。原稿用紙で 3枚分、ワープロの標準的なフォントで A4 用紙に 1枚分ぐらいのものだ。初めのいくつかのパラグラフで要点をまとめて、あとは詳細説明に移行するか、あるいは全体を短くするかのどちらかを選択すべきだろう。

サイトを運営する者は、アクセスしてくれる読者の識字能力を見くびる必要はないが、それでも、読みやすさには最大限の配慮をしなければならない。自分のコンテンツをも含めた反省点である。

願わくは、日本語を学ぶ外国人が「読みやすい」と言ってくれるようなサイトを作りたいと思う。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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