蛙と環境
筑波の里の田んぼという田んぼには、水が張られて、春の空を映している。既に田植えも進みつつある。
この土地は、日本中の蛙の本拠地みたいな言われ方をする所だけあって、この季節、夜になると蛙の声が一斉に響き渡る。しかし、不思議に耳障りではない。
日本の国は水の豊富な風土に恵まれているので、太古の昔から蛙の鳴き声が高らかに響いていたのだろう。この鳴き声をうるさがるようでは、ストレスがたまって仕方がない。
だから、日本人の DNA の中には、「蛙の声を気にしない」という情報がしっかりと受け継がれているのではあるまいか。ふと気が付くと、周囲に満ち満ちている鳴き声が、普段は「聞こえない音」として脳内処理されているようなのだ。
「聞こえない音」というのは、便利なものである。秋になって虫の声が鳴り渡るようになっても、きちんと「聞こえない音」として処理されて、安眠妨害にならずに済む。これが「騒音」として聞こえるという西洋人は、さぞかしストレスだろう。
前夜に寝るのが遅くなって、朝寝坊をしたい時というのは、窓の外の小鳥の鳴き声も、きちんと「聞こえない音」になっている。ところが、同じ鳥でも、カラスの鳴く声はうるさく聞こえてしまう。波長にどこか決定的な違いがあるのだろう。
ところで、さしもの筑波の里も、年々蛙の鳴き声が小さくなってきている。最近、世界中で蛙の減少が目立っているらしい。一昨年の 7月にも書いたのだが (参照)、これはどうやら紫外線の影響が大きいらしいのだ。
カエルは毛がなくて皮膚がむき出しなので、さぞかし紫外線によるダメージが大きいだろう。日のあるうちは、せいぜい何かの葉っぱの影にでも隠れていてもらいたい。
ただ、今年はなんとなく去年よりも蛙の声に元気のあるような気がする。少しは環境破壊にブレーキがかかってきているということだろうか。そうだとしたら嬉しいのだが。
| 固定リンク
「自然・環境」カテゴリの記事
- 世界平均気温、今年は過去最高となるのが確実らしい(2023.12.06)
- 「グリーンウォッシング」による化石賞というお話(2023.12.05)
- 東京って「クマの生息している首都」なんだそうだ(2023.12.03)
- 「大富豪と CO2 増加」そして「資本主義と人口減少」(2023.11.22)
- 千葉県にはクマがいないことについて(2023.11.13)
コメント