政教分離のグレーゾーン
民主党の仙谷由人政調会長が、6日の記者会見で、ヨハネ・パウロ二世の葬儀に日本の首脳が出席しないことについて、「少し (感覚が) ずれているのではないか」 と疑問を呈していたそうだ。
他の宗教行事に国費で出席したら、「政教分離に反する」 とか言うだろうに。
一時、日本のあちこちで、お役所が地鎮祭で玉串料を公費から出したことに対して 「政教分離に反する」 として訴訟を起こすのが流行ったことがある。しかし、今回の葬儀はそれどころの問題ではあるまい。
あれしきのことで訴訟を起こした人は、ジョージ・ブッシュが莫大な公費を使って (多分公費だったろう) ワシントンからローマまで飛び、葬儀に出席したことについても、米国で訴訟を起こせばいいだろうに。
超巨大教団とはいえ、国教というわけでもないカソリックの指導者の葬儀に、各国の政府首脳があれだけ駆けつけて頭を垂れているのは、政教分離の原則に著しく反していないとは言わせない。
訴訟を起こさないまでも、何らかのアピールぐらいすればいいのにと思う。それをしないで、日本国内の玉串料ぐらいでごちゃごちゃ言い、あまつさえ、仙谷発言に関しては何も言わない。
あの発言は、煎じ詰めれば 「政教分離の原則に、積極的に違反することをしないのは、感覚がずれている」 と言っているようなものなのにである。
これでは、ご都合主義と言われても仕方ないだろう。今回、小泉首相がバチカンに行くべきだったと主張した人が、同じ舌で靖国神社参拝問題で何を言っていたか、検証してみたい気もする。
要するに、「政教分離」 なんていうのは、とても曖昧な原則であって、杓子定規に運用するなんてことはできない代物なのである。とくに、世界中でメジャーになってしまえば、ゴチャゴチャ言う方が無粋ということになってしまうのだ。
これって、欧米に今でも隠然としてある白人至上主義にも通じる話になってしまうと思うのだが、今回はそれには触れないでおこう。
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コメント
バチカン市国ってちゃんとした国家ですよね。
そして法王は国家元首でもあるわけで、
政教分離の論点でみると変じゃないですか?
投稿: 疑問 | 2005年4月12日 16:38
>政教分離の論点でみると変じゃないですか?
なるほど、ローマ教皇を、単なる一国家元首としてみれば、矛盾はないと。
ただし、そうなると、一小国の国家元首の葬儀に参列しないことが 「ずれている」 ということの、説明がつかなくなりますね。
投稿: tak | 2005年4月12日 19:11
政教分離というのは、宗教的教義をもってこれを絶対的行為規範あるいは権威として統治行為(国民に対する政治的支配)を行うことを禁止するということであって、政治家が何々教徒であってはいけないというものではないでしょう。
ま、一国の首相が、この国は神の国だからという発言をすれば、変なのーと思うでしょうが、別に神のご託宣により行政執行すると言っている訳ではないから、政教分離とは関係ないというのと同じでしょう。
それに、日本が政教分離だからといって、宗教国家は国家として認めないという理屈もないでしょう。人権侵害だから国交を断絶すると言うならそれはそれでと思いますが。
どうも、変な理屈がまかり通りすぎと思います。
投稿: kant | 2005年4月13日 21:33
kant さん:
8年近くもコメントに気付かず、無視してしまいました。済みません。
>政教分離というのは、宗教的教義をもってこれを絶対的行為規範あるいは権威として統治行為(国民に対する政治的支配)を行うことを禁止するということであって、政治家が何々教徒であってはいけないというものではないでしょう。
当然すぎて、今さら言うまでもないことです。
>それに、日本が政教分離だからといって、宗教国家は国家として認めないという理屈もないでしょう。
同上。
>どうも、変な理屈がまかり通りすぎと思います。
それは、今に始まったことではありません。
投稿: tak | 2013年3月15日 15:44