誰も損をしない反日デモ
中国の反日デモ、日本のニュースでは乱暴狼藉場面ばかりが放映されているが、参加した大方の中国人にとっては、呑気な憂さ晴らしだったようだ。良き友、坂口昌章氏のブログで報じられている。
見たところ、今回の反日デモは、誰にとってもあまり損はないようなのだ。
まず、当の中国にとっては
- 人民の政治的不満のガス抜きができる。
- オリンピック開催の前にガス抜きができたことは大きい。
- 日本に 「歴史認識」 における反省を迫ることができる (と思っている。
そして、日本 (の保守勢力) にとっては、
- 「瓢箪から駒」式に、「何言ってやんでぇ、べらんめぇ」的ナショナリズムの高揚が図られた。
- 対中 ODA の見直し機運が高まった。
- 内政の混乱から目を逸らすことができる。
日本の左翼勢力にとっては、
- ほら、言わないこっちゃない、日本の歴史的な反省が足りないから、こんなことになると、キャンペーンできる。
- 靖国参拝にこだわる小泉内閣では、周辺諸国との友好が図れないと、攻撃材料にすることができる。
台湾にとっては、
- 中国メインランドの無茶苦茶さが印象づけられて、台湾が相対的に善玉になった。
- メインランドに集中しがちだった投資が、台湾にも向けられることが期待される。
韓国にとっては、
- ね、ねっ、日本て酷い国だよね、と、「反日」 を共有できるパートナーができた。
(ということは、北朝鮮と中国以外に、「反日」 を共有できる国がないということだが)
北朝鮮にとっては、
- とりえあえず、日本を敵とする視点で、完全な孤立を防ぐことができる。
周辺アジア諸国 (とくに ASEAN) にとっては
- 中国一辺倒だった投資が、嫌中ムードで周辺諸国に分散される期待が高まった。
- アジアのパワーバランスで、キャスティング・ボートを握れる可能性が高まった。
米国にとっては
- 中国への牽制球を投げることで、日本にまたしても恩を売れた。
- クォータ撤廃による貿易摩擦を和らげるカードに使える。
EU にとっては
- 高みの見物を洒落ながら、「アジアってしょうがねえなあ」と優越感にひたれる。
- 乱暴な中国から輸入するより、EU 域内での貿易や投資の方がいいよねと、プロモーション材料に使える。
なんだ、どの国もハッピーじゃないか。迷惑したのは、とばっちりを蒙った日本料理店と日本車のオーナーだけか。
とはいえ、中長期的視点では、差引勘定で中国にマイナスとなって顕れるのではないかなぁ。
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