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2005年5月15日

北京の日本大使館、現状復帰なんて

先月 21日の当コラムで、反日デモで汚された北京の日本大使館の外壁は、北京オリンピックまでそのまま保存し、各国のプレスに見てもらえばいいと書いた。

ところが日本政府は、中国の現状復帰の申し出を易々と受け入れてしまいそうな雰囲気なのである(参照)。

もう、本当に外交下手だなあ。中国側の申し出なんて、喜んで受け入れる必要はまったくないではないか。内部の業務に差し支える部分だけは、さっさと自前で修理して、外壁の汚れはそのままにしておけばいい。

外壁の汚れを、遅くとも北京オリンピックまでにきれいにしておきたいのは、体面にこだわる中国政府の方の都合である。だからこそ、「謝罪はしないが、修理はする」という虫のいい話をしているわけではないか。

中国としては、現状復帰さえしてしまえば、「無料で直してやったんだから、それでいいじゃないか」で済ましてしまうだろう。筋を通そうとしても、ウヤムヤになることは確実だ。これで、せっかくの外交カードをドブに捨てることになる。

だったら日本としては、謝罪が公式に行われるまでは、のらりくらりと言を左右にして、引き延ばすに限る。

「日本大使館の敷地内に、謝罪もしない国の業者をむやみに入れるのは、セキュリティ上の懸念があるとの、国内の声を無視できない」とかなんとか言って、3年半、返事を保留しておけばいい。そのくらいの腹芸ができなくては、外交もへったくれもなかろう。

まあ、いずれにしても、早急に結論を出して証拠隠滅に協力する必要は、まったくない。中国四千年の歴史に比べれば、3年半ぐらいのプレッシャーを与え続けても、それほど罰は当たらないだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

自分も、中国側の提案を受け入れたら最後、それで手打ちにされてしまう可能性が非常に高いと思います。
展開ひとつでは、対中外交の分水嶺になるかもしれない事件です。
ここはひとつ、意地を見せるべきでしょう。

投稿: Aroma | 2005年5月15日 00:50

Aroma さん、ご賛同ありがとうございます。
こんなの、小さなことかもしれないけれど、
有利な外交カードは、キープしておくべきですよね。

投稿: tak | 2005年5月15日 22:44

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