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2005年6月 1日

純粋培養のスターは仕切られたがり

初代貴乃花の二子山親方が亡くなって、マスコミはお約束の追悼美談で溢れているが、実は晩年はあまり恵まれた人生とはいえなかったようだ。

奥さんには出て行かれるし、綱まで張った二人の息子は不仲を極めているし、家庭的には不器用な人だったのだろう。

私は「純粋培養のスターは仕切られたがり」説を唱えている。若くしてスター街道に乗り、中途半端に真面目な性格のため、遊びたい盛りに世間を知らずに育った「スター」は、えてして我の強い仕切りたがりの女とくっついて、生活全般を仕切ってもらいたがる。そのくせ長続きせずに、途中で出て行かれる場合が多い。

郷ひろみなんて、その典型的なケースだと思うのである。

二子山親方の場合も、初代若乃花の実弟として注目を浴びながら、若くして相撲界に入り、相撲以外のことは知らずに、気付いてみるとスターになっていた。これ以上の純粋培養はない。

師匠の初代二子山からは非常に厳しく育てられたようだが、出世も早かったので、日常生活は付き人に何から何まで世話してもらう環境だったわけだ。相撲以外のことは、周りで仕切ってくれないと自分では何もできないということになっても、まったく不思議ではない。

二人の息子は親の背中を見て育ったわけだが、横綱になり、大関止まりだった親の地位を上回ってしまうと、相撲以外の部分で納得させられる材料がない。

若貴兄弟が現役の頃は、横綱とはいえ年齢的には三十歳にも満たない青二才である。親父の人には言えない苦労など、察してやれるだけの精神的な土壌はない。だから親子関係がいびつなものになってしまうのも、仕方のないところだったかも知れない。

そして今では次男の二代目貴乃花も、仕切りたがりの女房の尻に敷かれる傾向は共通しているのではなかろうか。あのドサ周りの演歌歌手みたいなヘアスタイルを見るだに異様さは隠しきれない。因果は巡るである。

その点、同じ純粋培養とはいえ、歌舞伎役者の場合は、芝居だけではなくきちんと遊びを仕込まれて、世の中の酸いも甘いも、ある程度は知ることのできるシステムになっている。そうでなければ、子々孫々役者を継がせて家を継承するということはできないだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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