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2005年6月 2日

カレーの日の謎 解ける

1月 16日の当欄で、「カレーの日の謎」というコラムを書いた。1月 22日はカレーの日というのだが、その実体が皆目わからないということを書いたのである。

この謎について、ululun さんが調べて解決し、BBS に書き込みしてくれた。私としても、これでスッキリしたのだった。

ululun さんが 「はてな」で質問を出し、その回答として挙げられたのは、「トリビアの泉で沐浴」というサイト(参照) 。知らなかった。「トリビアの泉」で取り上げられたネタだったのだね。

まず、わかったのは、「カレーの日」というのを制定したのが、巷間伝えられている「全国学校栄養士協議会」という、実際には存在しない謎の組織ではないということだ。本当は「全国学校栄養士会」というところだったというのである。これなら、ホームページもちゃんとある。(参照) 
(これに関しては、やや複雑な事情あり。このエントリー最後の【追記】を参照していただきたい)

「・・・ 会」 を 「・・・協議会」 と間違えるだけで、検索にもかからなくなり、話がややこしくなる。インターネットでは、誰かが誤った情報を伝えると、それがどんどん拡大再生産的に伝わってしまうという危険性があるが、カレーの日の総元締情報はそれに当たるようだ。
(【追記】 をご覧いただくとわかるが、誤った情報を伝えたのは、この団体自身だったようなのだ)

さらに、このページでは以下のように説明されている。

この計画の実行日は1982年1月22日。全国小中学校給食献立カレー化計画、ともいえるこの計画は戦後に学校給食が復活したことを記念する日である12月24日に実行する予定だったんですが、土日や冬休みと重なるため1ヶ月ずらした1月24日を中心とした1週間を「学校給食記念週間」とし、その中の22日を「統一献立日」としました。しかしこのカレー給食の日、既に献立が決まっていて変更できなかったので、実施したのは2割。「給食をカレーに、しーてしまえっ!」という筋肉少女帯みたいな計画、失敗!

というわけで、要するに、全国の学校給食をカレーにしてしまうというプロジェクトは、失敗に帰してしまったわけだ。給食でカレーなんて、別に日を決めなくてもいつでもできるのだから、構想自体がナンセンスということだったのだろう。

インターネットで流布されている「1982 (昭和57) 年、全国学校栄養士協議会で 1月 22日の給食のメニューをカレーにすることに決められ、全国の小中学校で一斉にカレー給食が出された」というもっともらしい説は、提唱した団体名も誤りならば、その成果として伝えられるところも誤りだったわけだ。

そして、「1月 24日を中心とした 1週間を『学校給食記念週間』とし、その中の 22日を『統一献立日』と」 したという事実からも、これはその年の一度きりの試みと想定されていたものということがうかがわれる。

継続的にやるつもりだったなら、「1月の第○週」といった決め方になるだろうから、それは間違いないだろう。そこまで深く考えてなかったというなら、お粗末すぎる話になる。

しかしなぜか、「カレーの日」という名称だけは、まるで盲腸のように生き延びてしまった。かなりいい加減なお話である。

そんな「瓢箪から駒」みたいな話なので、前出の全国学校栄養士会のサイトに行っても、「カレーの日」については一言も触れられていない。もう完全に頬被りしているようである。「触れられたくない過去の過ち」ということなのだろうか。

要するに、「カレーの日」 というのは、都市伝説に近いもの思っていればいいようなのである。

【2007年 2月 9日 追記】

わけのわからんことになっているのである。

このエントリーを書いた2005年 6月 2日の時点では、確かに、上記の [ http://www.gakkyu.or.jp/ ] というサイトに行ってみると、タイトルには 「全国学校栄養士会」 と表示されていたのである。ところが、今日たまたま表示させてみると、「財団法人 全国給食研究改善協会」 という団体のサイトになっていて、その中に、「社団法人 全国学校栄養士協議会」、略称 「全学栄」 という団体のページが、サブサイト的に作ってある。

で、この「全学栄」という団体の沿革を見ると、昭和 36年(1961年) 11月 10日に、「全国学校栄養士協議会」 設立総会で設立されたとある。その後、昭和 49年に社団法人になったとされていて、やっぱり、「全国学校栄養士協議会」 という名前に間違いはなかったようなのである。

ところが、しばらくの間、ホームページでは、「全国学校栄養士会」 という間違った名前が表示されていたために、「全国学校栄養士協議会」という名称のキーワードでは、検索に引っかからなかったのである。

おいおい、何とお粗末なことであるか。自分とこのサイトを作るのに、団体名称間違える団体が、どこにあるんだ? (ここにあるか)

【2020年 1月 29日 追記】

本日、たまたま上述の[ http://www.gakkyu.or.jp/ ]というサイトを再訪してみると、中身がすっかりリニューアルされていて、https://www.gakkyu.or.jp/about/outline/ というページの中で沿革が次のように紹介されている。(以下 コピペ)

昭和35年(1960年)11月1日 文部省学校給食事業創始者 久保田藤麿、国立栄養研究所長有本邦太郎、株式会社SN食品研究所社長 有吉義一をはじめ9名の発起人が、民間にあって、わが国学校給食の改善拡充に寄与貢献する団体として設立した。

昭和37年(1962年)7月9日 文部大臣より委体第80号をもって民法第34条による財団法人として認可された。

平成23年(2011年)3月25日 内閣総理大臣より府益担第2481号をもって、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第44条の規定に基づき公益財団法人として認定された。

平成23年(2011年)4月1日 財団法人学校給食研究改善協会は解散し、同日付けにて公益財団法人学校給食研究改善協会が発足した。

というわけで、設立当初の正式な団体名称は明記されていないが、少なくとも現在の正式名称は「公益財団法人学校給食研究改善協会」ということのようなのだ。やれやれ。

 

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コメント

カレーの日を決めた団体名が間違いであることを指摘されていますが、そもそも栄養士協議会で決定したということを疑ってみる必要があるのではないですか。協議会のサイトにはカレーの日については何の記載もありませんし、たとえ協議会で決定したとしても全国の学校にメニューを指示する権限があるとは思えません。巷間のカレーの日に初期の情報屋さんが無理やり意義付けをしたとも考えられます。最初の間違った情報がインターネット上で反復引用されているうちに正しいものと判断されるようになった怖れもあります。現代的デマゴーグの典型かも知れません。追求お願いします。(70歳男)

投稿: 桑原 正明 | 2008年2月20日 17:11

桑原 正明 さん:

>追求お願いします。

誠に恐縮ですが、追及するだけの手だても、時間的余裕もないんで、お許しください。

投稿: tak | 2008年2月20日 21:06

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 ■白い食器とお揃いで♪今日はカレーの日♪■ 【スタジオM】フリルカレーボール   というわけで、「カレーの日」 なんでも昭和57年というから、私らからみればごくごく最近、 社団法人全国学校栄養士協議会(全学栄)が 1月22日は学校給食で「カレーを出す日」と決めたのだそうです。 でも、相当嘘っぱちらしいことがわかった。 その件に関しては、ぜひこちらを参照していただきたい。    カレーの日の謎 解ける (tak shonai's "Today's Crack" (今日の一... [続きを読む]

受信: 2008年1月23日 17:28

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