テレビ CM 受難の時代に
みのもんたの朝ワイドでの失言で、番組スポンサーが降りてしまったというニュースには、笑ってしまった。(参照)
この騒動は、もしかしたらビオフェルミン製薬にとっては、負担の大きい番組スポンサーを降りるには、ちょうどいい口実になったのかもしれないと、私は疑っている。
同社のウェブサイトに当たってみたところ、昨年度の売上げは約 70億円をちょっと越したというところである。思ったより少ないが、主力商品がビオフェルミンのシリーズしかないので、まあ、そんなところか。
資本金は 12億円余りで、かなり大きいが、従業員数が 138名なので、中小企業経営革新支援法に基づく定義によれば、立派な「中小企業」である。当期利益が 10億円近くあるのだから優良企業なのだろうが、この規模ではワイドショーの番組スポンサーは結構な負担だったのかもしれない。
これが大正製薬クラスの大企業だったら、鷹揚に構えたフリをしてさんざん謝らせ、ペナルティとしてスポンサー料の割引なんぞをさせるところかもしれないが、中小企業としては、これ幸いと、さっさと降りてしまうに限ると判断したのだろう。
それでなくても、巷ではテレビ CM の効果に対する疑問が顕在化している。野村総合研究所(NRI)は、ブロードバンドや HDR (ハードディスク・レコーダー)の普及により、テレビ CM 市場において、約 540億円の価値が失われた試算している。(参照)
ビオフェルミンというブランドの認知率は、既にかなり大きい。中小企業にしてはかなり大きな市場的価値を持っている。この価値を維持するためだけならば、テレビ CM にこだわる必要はまったくない。
いや、テレビ CM というのは、既にかなり効率の悪い手法になってしまっていて、最低限の露出さえあればいいという考えもあり得るのである。今回スポンサーを降りたというのは、案外正しい判断だったかもしれない。
朝ワイドのスポンサーを降りて浮いた金の一部を、他の媒体広告に回したら、もっと効率のいいプロモーションができるはずだ。
いずれにしても、スポンサーの広告料に頼るという民放テレビのビジネスモデルは、このままで行くはずがない。何かチョンボしたら、スポンサーに CM 打ち切りの口実を与えてしまうことになる。
テレビ局にとっては、なかなかしんどい時代になるのだろう。
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