身も蓋もない値段
運転しながらラジオを聞いていたら、「ラジオショッピング」というコーナーがあった。日本橋の某老舗海苔店(名前忘れた)の贈答用焼き海苔セット、12帖 (120枚)、通常売価 1万 2千円を大幅割引で提供するという。
7-8千円ぐらいかなと思って聞いていたら、なんと 4,500円だというので、たまげた。
聞けば、ラジオショッピング用に、数量をまとめて用意したので、この値段が可能になったなどと言っている。それにしても、62% off というのはあんまりだ。高級品を商う店として、いかがなものかと思う。
高級贈答品の価値のかなりの部分は、「イメージ」である。そのイメージを自ら損なうようなことをしては、身も蓋もないことになる。同業他社にも迷惑な話だろう。
そりゃあ、買う方としては安いに越したことはないから、大幅割引はありがたい。それに、店としても宣伝になると考えたのだろう。
しかし、一度 62%引きで買った消費者が、再び買う気になるとは思われない。4,500円だからこそ飛び付くのである。誰が同じものに 12,000円払ってリピーターになるものか。
あるいは、次回は 5帖 5,000円ほどの買い物をしてくれると期待しているのかもしれないが、そうなる確率は低い。一度は 62%引きで買っているのだから、次だって 5帖 3,100円で買いたくなるのが人情だ。少なくとも、4,000円以上払うには、心中複雑なものが去来するだろう。
一度限りのことにせよ、62%も安い価格で売れることが明らかにされてしまったのだから、通常の価格そのものに信頼を置けなくなってしまう。いつもは暴利をむさぼっていると思われても仕方がない。
いずれにしても、あまり上手なマーケティングとは思われないのである。今回は出血大サービスなのかもしれないが、高級店がそんなことをするもんじゃない。
この店の焼き海苔は、海苔の生育に適した有明海産ということに加え、注文を受けてから焼くというのが高級さの所以なのだそうだ。「へぇ?」 という気がする。いくら注文を受けてから焼くといっても、食卓直結というわけではないから、別に焼きたてが食えるわけじゃない。
安い米でも、炊く直前に精米すればブランド米に劣らず美味い。海苔だって、一番美味いのは目の前で焼きながら食う海苔ってものじゃないか。
いい蕎麦屋なんかでは、焼き海苔は炭火桐箱(下に炭火を入れた小さな桐の箱)で供される。
| 固定リンク
「マーケティング・仕事」カテゴリの記事
- コメダ珈琲店って、やっぱりちょっとなあ(2025.07.24)
- 「五季」を単語登録してしまおう(2025.07.17)
- 捨てるとわかっているコメを、毎日無駄に炊く日本(2025.06.16)
- 「退職代行」って、何のためにあるのかよくわからない(2025.05.19)
- ファミマが「現金かファミペイを使って」と言ってる(2025.03.17)







コメント