キャットウォークとキティウォーク
「キティちゃん」は、固有名詞になってしまった観があるが、本当は "kitty" というのは、英語の幼児語で「子猫ちゃん」という意味の一般名詞だというのは、ご存じの通りである。
猫好きの米国人が子猫を「キーリ、キリキリ」なんて呼んでいたりするが、あれは、"kitty, kitty, kitty" と言っているわけだ。
毎日新聞に渡辺明日香さんが連載しているファッション・コラムは、タイトルを「東京 Kitty Walk」という。「キティウオーク」とは洒落たタイトルだ。
というのは、ファッション・ショーで、ステージの真ん中から突き出した花道のような誂えを、英語では「キャットウォーク」という。「猫歩き」である。このキャットウォークを、モデルがしゃなりしゃなりと、あるいは、スタスタと、またはぶらぶらと歩くわけだ。
ごくおおざっぱに言って、しゃなりしゃなりと歩くのは、オートクチュール系かコンサバ・ファッション系、スタスタと歩くのは、コンテンポラリー・ファッション系、ぶらぶらと歩くのは、ストリート系だ。
東京のファッションというのは、欧米系に比べると、ものすごくヤング系であることに特色がある。ヨーロッパのファッションというのはバアサンのためのもので、アメリカのそれがオバサンのためのものであるとすれば、東京のファッションは、「女の子」のためのものである。
それだけに、欧米のファッションが歩く道をキャットウォークとすれば、東京のそれは、確かに「キティウォーク」なのだろう。
ファッション関係の仕事をしている米国人の知り合いに、なぜ "catwalk" なんて名前がついたのかと聞いたことがあるが、彼女も "No idea" (わからない) と言っていた。なんでも、ファッションショーに限らず、高い所にある細い通路は大抵 "catwalk" というらしい。猫が塀の上を歩くのを連想させるからかもしれない。
試しにググってみたら、キャットウォークというのは、ファッションよりも建設関係で一般的な言葉のようだ。ダムの前面に設置されたものなど、高いところにある狭い通路のことをキャットウォークというらしい。
ちなみに、英語で "kittywalk" をググると、文字通り、ペット用の網で覆われた散歩道のような道具が出てくる (参照)。
東京の女の子たちは、あんな中を歩かないだろうが。
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