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2005年8月14日

ユーザビリティにおけるマーフィーの法則

U-Site」というサイトがある。いろいろなモノ、とくに IT 機器、ウェブサイトなどのユーザビリティを論じている。

このサイトに、Jakob Nielsen 博士署名による「スクロールとスクロールバー」という 7月 11日付の記事があり、「水平方向のスクロールは避けてウェブページを作ること」 とある。

この主張には、私も大賛成である。縦方向のスクロールならば、それほどうっとうしさは感じないが、水平(横)スクロールが必要なページに行き当たると、それだけで他に飛んでいきたくなってしまう。

ところで、これは本当に好みの問題で、他人に押しつけるつもりは毛頭ないのだが、私はウィンドウを最大化して画面一杯にしてしまうのは、嫌いである。

私の Windows のデスクトップには、ほとんど常に、3個以上のウィンドウが開いていて、それが微妙にずれて重なり合っている。マルチタスクで作業をする場合が多いので、同時に開いている他のウィンドウを、常に意識していたい気持ちの表れだ。

ともあれ、世の中には、ウィンドウの最大化がお好きな方もずいぶん多いようなので、繰り返して言うが、私は自分の好みを他人に押しつけるつもりは毛頭ない。しかし、私のように、最大化しないで表示している人も、かなり多いであろうことは、疑いがない。

ここで、ようやく本題に戻ろう。件の「スクロールとスクロールバー」という 7月 11日付の記事で、Jakob Nielsen 博士は次のように述べておられる。

ユーザテストをすれば、ユーザが水平方向のスクロールを嫌っていることがよくわかる。ユーザはそれを見かけると必ず、否定的なコメントをする。顧客満足を考えるならば、水平方向のスクロールは避けて当然なのだ。

ところが、このページは多分、世界で最もアイロニカルなページの一つである。1024 × 768 ピクセルの標準的な画面では、ブラウザーのウィンドウを最大化しない限り、水平方向のスクロールなしではテキストが読めないのである。IE などで、左側に 「お気に入り」 を表示させてしまったら、最大化させても読めない。

まあ、ページの作りとしては、テキストを読み進むに分には左側のサイドバーを無視できるので、一度水平スクロールしてしまえば、後は縦スクロールだけで済むのだが、それにしても、最初の一度が痛恨ではある。

博士の名誉のために言っておく。今回の記事は彼の「Alertbox」という一連のコラムの翻訳記事の中の最新記事なのだが、それ以前の記事は全て、本文が可変サイズで表示されている。だから、ウィンドウサイズに関わりなく、横スクロールなしでテキストを読めたのである。

それなのに、今回のコラムのみが、最大化したウィンドウに最適化された固定サイズで表示されてしまっているようなのである。多分、翻訳側のスタッフの単純なチョンボだろう。しかし、そのチョンボが、こうした決定的なテーマのコラムで生じてしまうところが、世の中の恐ろしいところである。

「マーフィーの法則」というのがある。「これは避けたいな」と思いながらも、ついやっちまうこと、あるいは「ヤバいことは、こともあろうに、最もヤバいタイミングで起こる」 という、ありがたくない法則である。

自分がこんな形でマーフィーの法則にとりつかれないよう、努々気を付けよう。それから、このページの表示が速やかに可変サイズに修正されることを期待する。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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