郵政民営化は、絶妙のテーマ
読売新聞の世論調査で、今回の衆院選に「大いに関心がある」と答えた人は 61%に達し、投票に「必ず行く」が 75%を占めた。
これにより、今回の総選挙は、有権者のこれまでにない高い関心を集めているとされ、投票率もこれまでより高いものになると見られているが、私はまだ「眉唾」である。
というのは、昨年夏の参議院選挙の際の読売新聞世論調査でも、投票に「必ず行く」と答えた人が 73%だった。今回の数字とは、たった 2%しか違わない。で、実際の結果は 56.55%でしかなかった。
その 3年前の参議院選挙はもっとひどい。「必ず行く」が 77%だったのに、実際の投票率は 56.44%だった。「ウソばっか!」 である。ついカッコつけて「必ず行きます」などと、心にもないことを言ってしまう人が多いようだ。
このアンケートは、無作為抽出で電話をかけて実施される。この「電話アンケート」というやり方が少々問題だと、私はみている。要するに、結果はあまり信用できないということだ。
読売新聞という「一応の権威」ある全国紙がわざわざ電話を掛けてきて、もっともらしい質問を浴びせかけてくると、回答者にはちょっとしたプレッシャーが働くみたいなのだ。
それで、「投票には行きますか?」と聞かれ、「必ず行く」「なるべく行く」「わからない」「行かない」みたいな選択肢を示されると、つい、「必ず行く」なんていい子ぶったことを言ってしまう。本当は「わからない」とか「よほど暇だったら」とかのくせに。
とはいえ、やはり今回の総選挙は、多少は投票率が上がるかもしれない。「郵政民営化」というテーマは、それなりの役割を果たすことになる。
私は先月 9日の当コラムで、「大きな化学反応をもたらすための、可能な限り無害な触媒という役割を、郵政民営化問題というのは、歴史の中で果たしている」と書いた。この見方は間違っていないと思う。
もしこれが「消費税引き上げ」とか「年金支給削減」みたいなテーマだったら、大きな動きを促進させるトリガーにはなるはずがない。「郵政民営化」みたいな、国民の大多数にはあまり実害のないテーマだからこそ、構造改革の有効な「触媒」の役割を果たせるのだ。
その意味では、今回の選挙の焦点が「郵政民営化」になったのは、まさに「絶妙」の配剤と言える。
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