パソコンは基本的にアメリカ人
一昨日、「PC というやつは基本的にアメリカ人なので・・・」 と書いた(参照)が、フォントの扱いでも、それはしみじみ感じられる。
文字を使って画像を表現するとき(例えば当サイトのトップページのリンクボタンなど)、英文字は苦もなくきれいに決まるが、日本語はなかなか厄介なのである。
当サイトのトップページでは、サイト内リンクのために合計 9個のボタンを配置しているが、できたての頃のボタンは、ものすごく不細工だった。日本語の表示が、どうにもきれいに決まらなかったのである。
3年半ほど経過するうちに、時間を見てはボタンの日本語フォントをいじり、少しはきれいに見えるようになってきた。よく見ていただくとわかるのだが、ボタンの日本語文字は、一つ一つ、フォントサイズを変えているのである。さらに文字間隔もすべて一つずつ調整してある。
例えば、左上の "「今日の一撃」 全目次" というボタンでは、「今」という文字のフォントは、「日」よりずっと大きくしてある。そうしないと、バランスが全然取れないのだ。そのほかの文字も、とくにカギ括弧などは、一文字ごとに微調整してある。
このあたり、先月に書いた「ヘンリー・フォードと畳」の話を思い出した。畳も日本語フォントも、すべてその場その場の手作りで行くしかないという点では、見事に同じである。
先日、印刷のプロと話していてわかったのだが、マックの DTP でパンフレットなどを作成する場合も、タイトルやキャッチコピーなどの重要な部分は、一文字単位で慎重にアジャストしているという。そうしないと、まったく不細工になってしまうらしい。
彼が言うには、「日本語のフォントは、とくに横書きに弱いんですよ。サイズのバランス、文字間隔が全然ヘタ。その点、英文字は楽ですね。ほとんどアジャストしなくても、一応はきれいに見えますから」 ということだそうだ。
なるほど、その通りである。ウチのトップページでも、"Images of Life" というボタンなんか、まったく調整を加えなくてもきれいに見えている。日本語の扱いの難しさとは雲泥の差である。
そういえば、本宅サイト一番上のサイト・ロゴにしても、日本語フォントは一文字ずつフォントと文字間隔を調整しているが、その下の英文字はアジャストなしである。
日本語フォントの扱いがどんなに大変か、実際に画像で示してみよう。
上の図は、「HGP教科書体」というフォントを使って作成したものだ。上はドロップシャドウを薄く入れただけで、他には何の調整も加えていない。
最初の「調」の字は、画数が多いので、表示のかすれて見える部分がある。さらに、全体に文字間隔が妙にばらばらになってしまっているのがわかるだろう。「を」の後や、カギ括弧の後は、間抜けなほど空きすぎている。
下は、それに調整を加えたものだ。一文字単位でフォントサイズと文字間隔をいじり、少しは自然な感覚に仕上げている。日本語フォントの場合、こうして手取り足取りしてあげないと、PC という機械は、まともな表示ができないのだ。
こうしたことを考えると、日本語を使う我々は、PC を使った仕事の生産性という点で、欧米にかなりのハンディを負っているのだとわかる。なにしろキーボードでの入力でも、ローマ字入力なんていう非効率なシステムが一般的だ。
かな入力ならいいかというとそうではない。一番上の段の数字や記号を入力するのに、いちいちモードを変えなければならないので、かえって手間がかかる。
「日本人のための PC」 は、もっときちんと開発されなければならない。
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