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2005年10月 5日

道案内の下手な女 (性差 その3)

仕事で初めての会社を訪問する時、最近なら Mapion でピンポイントで確認してから行くので迷わないが、以前は最寄りの駅から電話をして道案内してもらったりしていた。

ところが、電話の向こうで道案内してくれるのが女性だと、なかなか要領を得ないことが多かったのである。

わなわな。私はまたぞろ性差なんて物騒な問題に触れようとしている。君子危うきに近寄らずというのに、私って、よくよく君子じゃないのか。

だって、しかたがないのである。電話の向こうで道案内をしてくれるのが女性だと、2割ぐらいは、しどろもどでさっぱりわからないし、それほどではないにしても、なかなか要領を得ないというのも、4割ぐらいはいる。

中には最初からあわてふためいて、「誰か、替わって道案内してください」なんて、助けを求める女性までいる。自分が毎日歩いている道を説明するのに、どうしてそんなにパニくらなければいけないんだ。

しどろもどろの女性を見かねた営業マンか誰かが電話を替わってくれると、ものすごく単純明快によくわかったりする。同じ道順を説明するのに、どうしてこうも差がつくかなあと思う。

個人的印象であると、慎重に予防線を張って言うのだが、要するに、女性の半分以上は道案内が下手なんじゃないかと、私は思ってしまっている。

こんな傾向値的な印象があるので、初めての会社を訪問するときに最寄りの駅からかけた電話に女性が出たりすると、私は思わず「男に替わってくれないかな」と思ってしまったりしたことが何度もあると、正直に白状しておこう。

ところが、この最初に出た女性が、案に相違して、実に要領よくスマートに、しかも明確に自分の言葉で道案内をしてくれたりすることもある。こんな時、私は思わず「おぉ、女なのに、エライ!」と思ってしまったりしたということも、ことのついでに白状してしまおう。

「女なのに、エライ」 ・・・ ああ、とんでもないことを書いてしまった。こういうのを「ヴァルネラビリティ(vulnerability: 攻撃誘発性)」 というのである。こと性差の問題になると、なんてヴァルネラブルな私。

言い訳に聞こえてもいいが、これは、単に傾向値的な印象をいい方向に裏切られた時の心地よい驚き故に、ついそんなふうに思ってしまったというお話である。

だから、逆に 「男なのに家庭料理が上手」 なんて単純に感嘆してしまうこともある。根底にあるのは、偏見というよりは、傾向値的な印象なのだと言わせてもらいたい。

ただ、道案内の上手な女性は 「女なのに上手」 と誉められても嬉しくはなかろうし、逆にカチンと来たとしても、それは、そんな失礼な誉め方をした方が悪い。家庭料理の上手な男だって、同様だ。いくら私でも、その程度の理解はある。

知的な女性は、こうした「世間の既成観念」に対してかなり勇ましく反発する傾向がある(ように見える)。それは、世間の既成観念というものが、知的な女性に不利に働くことが圧倒的に多いという環境があるので、当然といえば当然だ。

身に降る火の粉を払うのに、なんで遠慮する必要があろうかというものである。

逆に男の方は、世間の既成観念を逆利用して仕事を運んだりすることができるので、そのあたりは、かなりいい気なものである。いい気な分、女の苦労を知らない。

いい年をしたオッサンが、「女は出しゃばるな」とか「女は感情的で手に負えない」とか言うのを聞くと、その傲慢さに対して、私は掛け値なしに腹が立つ。

「お前みたいな単細胞が社会に出しゃばる方が、日本の害毒だ」と思うし、「感情的なモノの言い方では、お前だって負けていないし、その上、権威的な分、最悪だ」ということをわからせたいとも思う。(それは容易なことじゃないが)

しかし、女の中にも性差の既成観念に甘えて、電話の道案内ぐらいで逃げを打ってしまうようなのもいるので、全面的に免罪符が与えられているわけでもない。

化粧品とエステとファッションに金をかけて、男をたぶらかしさえすればいいというような、性差の下にさらに座布団を十枚ぐらい敷いたような Nikita 女もいないわけじゃないし。

分からず屋のオヤジと、気配り上手なオバサンがいたとする。分からず屋のオヤジは困りものだが、しかし、いざというときには、単純に体を張ってまで周囲を守ってくれたりするかも知れない。

気配り上手なオバサンは、実は、その気配り上手という隠れ蓑の陰で限りない自己満足に酔いしれるのが好きなだけで、周囲がその気配りをありがたがらないような暁には、掌を返したように、我の強い仕切屋の本性を現すかも知れない。

この喩えは、いわゆる性差という既成観念の実態はニュートラルなものに過ぎず、それがいい方向に出たり困った方向に出たりするというだけのことというのを表現したつもりで、決して個別の問題を言っているわけではない。

もしうまく伝わらなかったら、それは私の言い方が下手なせいである。

私自身は、性差というものをあるがままに認め、尊重しつつ、自分自身はそれをいい意味で裏切りたいと思っている。

性差の既成観念にことさらに喧嘩を売るのは、前にも書いたように、それを必要以上に意識していることの裏返しで、そうしている限りは、既成観念に絶えずエサを与えているのと同じ効果を発揮してしまう。

性差を換骨奪胎して、上手に裏切っている女性をみると、私は好ましく思ったりする。

こういう書き方すらも、かなりヴァルネラブルなものかも知れないという自覚はあったりするけれど。(私がフェミニストだったら、あちこちツッコんじゃうところだな)

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

運転が上手なように思える女性でも、ひとたび車庫入れ・縦列駐車・お尻からの駐車・混み合ったパーキングからの発車などをさせるとパニックです。
男性の私など、こう思い切りきって、それからこう思い切れば後は出るだけなんて、ヴィジュアルに簡単に見えるので、それを助言するのですがパニクッた女性からは怒声が浴びせられるだけです。
これも性差です・・・。
今夜もこれで失礼します。

投稿: alex99 | 2005年10月 5日 02:51

alex さん、

それも一般的傾向として、個人差を認めるという逃げ道を用意しておきましょう。

車庫入れがまったくお下手な男性もいますし、逆にウチの娘たちなんて、かなり上手ですから。

もっとも、我が家の狭い駐車場に 4台入れるというむちゃくちゃな離れ業を強いているので、娘たちは、好むと好まざるとに関わらず、上手にならざるを得なかったわけですが。

投稿: tak | 2005年10月 5日 21:18

takさんが怖れる刺客が来ましたよ~(笑)

投稿: kumi | 2005年10月 7日 05:38

> takさんが怖れる刺客が来ましたよ~(笑)

なんのなんの、kumi 先生は歓迎です。

投稿: tak | 2005年10月 8日 09:21

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受信: 2005年10月 7日 05:36

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