世界地図では、誰もが多少はおバカ
今年の 3月に、「バカ日本地図」というのを紹介したが、今度は「バカ世界地図」ができたようだ。同じ「借力というサイトの労作。
某書店では、「ワールドワイドの方がきょ、強烈です・・・やはり」 と、そこはかとなく販促しているらしい(参照)が、世界地図となると、誰もが少しはおバカなんじゃなかろうか。
私だって、東欧とか、アフリカの真ん中あたりとか、南米のペルーとかの込み入ったあたりとかになるとお手上げだし、バルト三国なんてどれがどれだかわからない。
まだしもわかるのは、行ったことのある国ぐらいのものだろうが、私は 3日前にも触れたように、外国で行ったことがあるのは、米国とドイツとフランスと、中国に返還される前の香港ぐらいのものである。それでも、香港と上海のどっちが北にあるのか、最近まであやふやなものだった。
今となっては、そんな便に乗るのは誰もいないだろうが、20年ぐらい前に、それしか安い切符が取れなくて、南回りコースでドイツに行ったことがある。それはそれは、疲れ果てる長旅だった。
夕方に成田を発って、いったん西に沈んで地球の裏側を通って東から追いかけてくる太陽から、周回遅れのランナーの如く必死に逃げつつ、延々と西に飛ぶのである。一度給油のために熱風のダッカに降りた時間も入れて、20時間ぐらい必死に逃げまくり、やっと太陽に追いつかれ、そして完全に追い越されたところが、暦の上では翌朝のフランクフルトだった。
つまり、それはそれは、うんざりするほど長い長い夜だったのである。
その間、飛び越えたはずのアジア、中東、東ヨーロッパの国々の位置関係なんか、全然覚えていない。確かに、真っ暗な地上のそこここに光る街の灯はきれいで、あれがバグダッドか、あれがイスタンブールかと、その時は痛く感動したものの、残ったのは、もう二度と同じコースを飛びたくないという感慨だけだった。
世界というのは、うんざりするほど大きなものである。
1970年にサイゴンが陥落してベトナム戦争が終結したとき、私の母は、「ベトナムってどこにあるのか」と私に聞いた。「ベトナムを知らないのか」と聞くと、「知らない」という。
「うーんと、ほら、昔は、フランス領インドシナと言ったあたりが、ベトナム」と言うと、「ああ、なんだ、仏印(!)のことか」とすぐに納得した。それまで連日のようにベトナム戦争のニュースを聞いて、一体どこの世界のことだと思っていたのだろう。
母の脳内世界地図には、戦後 25年を経ても、「フツイン」が生き続けていたようなのである。今でも、頭の中に「ソ連」の生き続けている人は、多分、世界中に何百万人もいると思う。
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