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2005年12月12日

言葉の膨らみのない 「ロック・ミュージック」

元 (?) 筋肉少女帯大槻ケンヂ が、TBSラジオ「伊集院光 日曜日の秘密基地」に出て、面白いことを言っていた。

「ロック・ミュージシャンって、インタビューに応えて簡単に『わかんない』って言うけど、ああいうの聞くと、『おい、そりゃないだろう、もっと膨らませろよ』なんて思う」んだそうだ。

うーん、気持ちよくわかる。ロック・ミュージシャンって、ちょっと深い部分に及ぼうとすると、言葉感覚なさすぎで、お話にならないことが多い。

大槻いわく、「そんな時、当人に聞いてみると、『だって、本当にわかんないんだもん』なんて言うんだよね。そっかぁ、ロック・ミュージシャンてそうなんだ。あんなに簡単に『わかんない』なんて言っちゃっていいんだ。サービス精神なんか要らないんだと思ったね」

そうか、言葉を尽くすって、ある意味「サービス精神」だったんだ。てことは、文系人間て、そっけなく見えても、実はかなりサービス精神旺盛な存在なんだな。なにしろ、手を替え品を替えわからせようとする。

さんざんわからせようとした挙げ句、それでも通じないと、初めて泣く泣く諦める。

その点、(いわゆる)ロック・ミュージックってのは、「わかるヤツだけわかればいい」というところが価値といえば価値だから、言葉を尽くして説明しようなんて姿勢は、元々もっていない。いや、もっと言えば「わかる/わからない」なんてことより、生理的に「ノレる/ノレない」というだけのことだ。

このカテゴリーの中では、下手にサービスしちゃうとダメらしい。「サービス精神」がなくても、「ノレる」連中からは「ロックスター」として祭り上げられる。ただし、「言葉の膨らみ」はない。それがないから、残らない。

そうなんだなあ。だから最近の(いわゆる)ロックの歌詞は、つまらないのだ。ただ単に、音に乗っかりやすい言葉を連ねているだけだから。「韻を踏む」とか称しても、ダジャレのレベルがほとんどだし。

最近の(しつこようだが、「いわゆる」)ロックが文科系にアピールしない理由というのは、この辺りにあったのだな。ロックよりお笑いの方が、ずっとレベル高かったりするぞ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

う~ん。
私は、
「説明するのは、音楽で言い切ってしまってないからで、
できちまった音をあれこれ自分で説明するのは見苦しい。」
などと思ってしまいますが。。。。。。。。。

投稿: K.J Tyler | 2005年12月13日 08:11

K.J Tyler さん:

>「説明するのは、音楽で言い切ってしまってないからで、
できちまった音をあれこれ自分で説明するのは見苦しい。」

確かに、それはミュージシャンとしてのあるべき姿だと思います。

ただ、(いわゆる) ロック・ミュージシャンって、
中途半端に生意気なコトを言う割には、それ以上の発展を拒むし、
何よりも、歌詞がつまらない場合がものすごく多いと、
そう言うことを言いたかったわけなんです。

そうでないロック・ミュージシャンもいますけどね。

投稿: tak | 2005年12月13日 10:10

私はモダンジャズとクラシックが好きで、ロックなんてわかりません。
わかるのはローリング・ストーンズの「サティスファクション」までです。
逆にモダンジャズのコルトレーンも、多くの人がそうであるように「至上の愛」で見放しました。(笑)

プレスリーの音楽はロックンロールだと思うのですが(ロカビリーも入れてもいいのですが)、その後に出てきたロックというものは、興味がわきません。
娘はロックが命・・・らしいので(その割に哲学専攻でしたが)、いつも議論になります。

敢えて偏見で言えば、ロック人間は感覚的なのでしょう。

私は「膨らませる」というより「分析・掘り下げ」だと思いますが。

投稿: alex99 | 2005年12月13日 16:22

alex さん:

>私はモダンジャズとクラシックが好きで、ロックなんてわかりません。

私は70年代までのロックとクラシックが好きで、最近の (いわゆる) ロックがピンときません。

と言ってしまうと、alex さんとやや相似形になってしまいそうな気が ・・・ ^^;)

>私は「膨らませる」というより「分析・掘り下げ」だと思いますが。

大槻ケンヂ的には、多分 「膨らませる」 コトの方が大事なんでしょうね。

投稿: tak | 2005年12月13日 22:09

なるほど、それは言えます。

>中途半端に生意気なコトを言う割には、

特にこの部分。

投稿: K.J Tyler | 2005年12月15日 08:54

>>中途半端に生意気なコトを言う割には、

>特にこの部分。

かなり感じますよね。

投稿: tak | 2005年12月15日 20:08

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