昭和の歌、平成の歌
同年代同士でカラオケに繰り出すと、歌われるのはほとんど「昭和の歌」である。「平成の歌というシバリをつけようぜ」なんていっても、結局誰も歌えないのである。
「オリコン・チャート」とやらを覗いてみても、知ってる歌が見つからない。さらに歌だけではなく、歌手の名前もわからない。
40歳になる前は、「最近の歌は、何を聴いても同じに聞こえる」というオッサンの言いぐさを笑っていたのだが、今や自分がそうなってしまったのだから、世の中恐い。
小沢昭一氏は「おじさんには今歌う歌がない」と歌ったが、幸いなことに、私の世代には歌う歌がいくらでもある。多分、10年後にも残っている歌の数で言ったら、今の若い連中より私の方がずっとレパートリーが多いだろう。
だから、今の歌を知らなくても全然悲しくはない。何しろ、ビートルズのヒット曲なら大抵歌えるというだけで、私は圧倒的アドバンテージを確保している。「どうだ、文句あるか」というぐらいのものである。
「オリコン・チャート」というサイトを見ると、B'z というグループが圧倒的に強いらしいが、私はその男の子二人組らしいグループの曲のタイトルを、1つも挙げることができない。多分、それは珍しい存在でもなんでもなく、45歳以上の人間なら、かなり多くがそうだろうと思う。
さすがに、彼らの歌がカーラジオから流れてくると、「ああ、B'z だな」とは思う。しかしそれは、「口の端からよだれが垂れそうな発音で、各フレーズの最後が、ロックのくせにムード歌謡っぽく裏声にひっくり返る歌唱法」で判別できるだけの話だ。B'z ファンには甚だ恐縮だけど。
私の世代は、音楽的にものすごく恵まれていたのだと思う。30年、40年経っても全然古くならない、きら星の如き名曲をリアルタイムで聞き込んで、もう十分にお腹一杯なものだから、薄っぺらな新曲にそんなに貪欲に向かって行かなくても済んでいる。
だからカラオケで「平成の曲しばり をかけても、私が歌えるのは「ヨゾラノムコウ」と「大きな古時計」ぐらいのものだ。おっと、「大きな古時計」は平成の曲じゃなかったか。
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