凡人には書けない、ホリエモンの 「社長日記」
ホリエモンが逮捕されたというニュースを聞き、初めて思い立って、彼のブログ 「Livedoor 社長日記」 というのを読んでみた。
感想。ちっとも面白くない。一緒に酒飲んでも、面白い話題なんかない人なんだろうなあと、そんなことは前々から思っていたけれど、改めてその感を強くした。
ちょっとだけ興味を持ったのは、彼の 22日の(つまり逮捕直前の)日記の、以下のテキストだ。(以下引用)
疑いをかけられている(と明確にわかる強制捜査時の捜査令状、これはもらえないしコピーもとらせてもらえないので内容は100%覚えていませんが)件につきましては私は身に覚えがないですし、報道されている件は誰がどこでどう調べたのかもわからないような代物ですので、なんともコメントのしようがありません。
ホリエモンという人のレトリックというか、思考回路というか、もっと言えば生き方というか、さらにもっと言えば世の中のなめ方というか、そんなものを知る一端となりそうな、妙に面白い文章である。
捜査令状の内容は覚えていないけれども、それに関しては身に覚えがないと言っている。覚えてないことについて、覚えがないというのは、ウルトラ D 以上の天才的に素晴らしいレトリックだ。
もしかして、「100%は覚えていないので、忘れてしまった部分に関してまで身に覚えがないと言っているわけではない」ということなら、さすがにホリエモンである。こんなところまで抜け道を用意してあるわけだ。
「報道されている件は誰がどこでどう調べたのかもわからないような代物ですので、なんともコメントのしようがありません」というのも面白い。「誰がどこでどう調べたのかもわからないような代物」であれば、なおさらきちんとコメントすべきなのだが、さすが、ホリエモンはそんな月並みの対応はとらないのである。
要するにホリエモンという人、「俺のやったことの、どこが悪いんだよ。悪くなんかないじゃんかよ。君たちの思いもつかなかった法律ギリギリの手法を、堂々と採用しただけじゃん」と言っているのである。
しかし、確かに大筋では「法律ギリギリ」だったかもしれないが、その辻褄を合わせるために、細部ではやっぱりちょっとばかり行きすぎの点もあったようなのだ。しかしそれはホリエモンにとっては、「法律ギリギリ」の延長線上にある、ヒヤヒヤもののエピソードの一つという程度に過ぎないようなのだ。
「それって、そんなに問題なことなの? だって、仕方ないじゃん、俺のやり方をすれば、必然的にそういうことになるじゃん、別に誰にも迷惑かけてないじゃん」 って感じなのではなかろうか。
この人、案外自分の中だけで生きてるみたいなのだ。人の話なんて、きっと聞かない人なんだろうなあ。
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コメント
はじめまして。
森と林の違いについて検索してて偶然引っ掛かって、それ以来色々読ませてもらっている者です。
ホリエモンの社長日記ですが、思うに社長という立場上(今はもう違いますが)言ってはいけない事等もあるので、迂闊なことをかけないのではないのでしょうか。
だからただ事実のみを淡々と書き綴っただけの、つまらない日記に成り下がっているのでは?
立場上、自分の考えを全てひけらかすような事を書けないのではないかと思いました。
でも、それにしたって発言とか聞いていてもあんまり考えないで物を言っているなぁというものは感じますが(苦笑
投稿: 葉月瞬 | 2006年1月24日 21:48
葉月瞬 さん、ようこそ。
うーん、社長という立場を考慮しても、もう少し面白い話題で書いてくれてもいいんじゃないかなあと思ってしまいます。
それに、ブログ以外の発言は、社長という立場をあまり考慮していたとも思えないし。
投稿: tak | 2006年1月25日 01:24
しかしもともと、面白い話題なんか書ける人は限られているんじゃありませんか?
このごろ面白いブログは、あるはあるにしても少ない。
庄内さんのブログは水準が高いまま、高止まりで(笑)、知的興味をひきますね。
投稿: alex99 | 2006年1月25日 17:23
alex さん:
>しかしもともと、面白い話題なんか書ける人は限られているんじゃありませんか?
確かに。
世の中面白いブログばかりだったら、一日中巡回していて仕事にならないかもしれません。
私のブログ、最近、オフで某 M 氏に 「近頃、ネタに困ってんじゃないの? 鈍りがちだよ」 と苦言を呈されました。
反省。
投稿: tak | 2006年1月25日 20:10
そんなことはありません。
鋭い視点と教養というものがあれば、無限大です。
ネタなんてものが転がっている世界ってあります?
投稿: alex99 | 2006年1月26日 11:52
うぅむ、
ブロガーも歩けばネタにあたる
なんてことにはならないですね。
投稿: tak | 2006年1月27日 00:51